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p.26 抽出テキスト

栓症や重度の心不全,急性下肢虚血の患者は,一般的にpDVAの適応から除外されていることが多い.

3.2 手技

EVTによる動静脈瘻作成にはさまざまな方法が報告されている.リエントリーデバイスを使用して動脈から静脈を穿刺する方法130),ガイドワイヤーで動脈から静脈に穿通する方法131),透視下や超音波ガイド下に動静脈を経皮的に穿刺する方法などが報告されている102, 128).動静脈瘻部はステントが留置されることが多いが,バルーン拡張のみの報告もある.ステントの選択として,脛骨腓骨動脈幹など下腿中枢側での動静脈瘻作成では,静脈分枝から中枢静脈への盗血の可能性があり,カバードステントが使用されることが一般的である.末梢側での動静脈瘻作成ではベアステントが使用されることもある102).足趾の静脈まで動脈血流を逆流させる必要があるため,足底静脈までバルーン拡張を行い,静脈弁の破壊を行う.

3.3 術後のメンテナンス

pDVA後に前足部の浮腫やチアノーゼを伴う例がある.いずれもシャント造設に伴う静脈高血圧,うっ血が原因と考えられている.また,一次的に壊死が増悪,拡大する例も報告されており,患者への十分な術前説明が重要である.動静脈瘻の開存は定期的に確認する必要がある.動静脈瘻が閉塞すると,虚血が悪化し,下肢大切断に至る可能性が高くなる.シャント作成部から末梢の静脈部の拍動が触知できるか,ドプラ聴診器でシャント音が聴取できるか,もしくはデュプレックス超音波検査でシャントが開存しているかを,外来で定期的に確認する.狭窄や閉塞があるようなら,バルーン拡張や血栓吸引など再治療を計画する.抗血小板療法,抗凝固療法に関するコンセンサスは得られていないが,多くの研究では永続的なSAPTに加え,3~ 6ヵ月間抗凝固薬が併用されている.静脈床を介した創部への血流はシャント作成後すぐに得られるものではなく,緩徐に発達することが報告されている103)(図4).

3.4 治療成績

企業製のLimFlowデバイスを用いたpDVAの成績が,欧米諸国から報告されている.PROMISE I,II試験, ALPS試験の結果によると,pDVAの手技成功率は96.9~ 99%,6ヵ月,12ヵ月の大切断回避率はそれぞれ66.1~ 83.9%,70~71%であった95, 125, 126).術後6ヵ月で67~ 76%の患者において創傷治癒や改善が得られた.

わが国からも多施設後ろ向き研究の結果が報告されている.off the shelfテクニックを用いたpDVAの手技成功率は88.9%,大切断回避率は術後6,12ヵ月で72.2%, 72.2%,創傷治癒率は術後6,12ヵ月で23.0%,53.2%であった127).近年発表されたシステマティックレビューでは, 208人の患者からなる5 つの観察研究が評価対象となった132).メタ解析の結果,技術的成功率は96.2%(95%CI 91.5~98.4),追跡期間中(6~35ヵ月,多くは12ヵ月未満)の全生存率は82.8%(95%CI 70.5~95.2),患肢救済率は77.2%(95%CI 65.2~89.1)であった.pDVA後の創傷治癒率は53.4%(95%CI 30.3~76.5)であった.一次開存率は30.8%(95%CI 21.8~39.7)と低く,再治療介入率は46.7%(95%CI 37.1~56.3)と高かった.比較的高い閉塞率から,シャント開存の有無について頻回の確認が必要であることが示唆される.また,pDVA後の特徴として,通常の動脈血行再建と比較して創傷治癒に時間を要するようである.これは,前述のように静脈床を介したreversal flowの発達に一定の時間を要するためと推察されている103).

4 まとめ

CLTIは,客観的に証明された下肢動脈閉塞性疾患に起因する虚血性の安静時疼痛,潰瘍,壊疽(Rutherford分類4~6,Fontaine分類III ~IV)を含む臨床症候群を伴う末梢動脈疾患(PAD)と定義される86, 133).この定義の中には,軽度の血管不全から,閉塞病変が非常に複雑で血行再建治療の「選択肢なし(no-option)」の状態までの広範囲にわたる重症度が含まれる.現在,このno-option状態に対しては,下肢大切断が唯一の解決策と考えられている.しかしながら,患者の生存と下肢切断の長期予後は直接関係しており,治療の方針が「生命と下肢」の両方に大きな影響を及ぼすことが知られている134).

no-option CLTI患者に対して,DVAは下肢大切断を回避する方法として期待されるが,遠位足部静脈にバイパス吻合するsDVAは標準化されておらず,安定した治療成績を得ることは困難である121).pDVAはEVTにより近位部に動静脈瘻を作成し,静脈弁を破壊することで,深部静脈を動脈化し,創部へ逆行性に送血する治療法である.わが国ではoff the shelfテクニックを用いたpDVAの成績が報告されているが127),本治療に用いる適切な医療機器は薬事承認されておらず,依然としてアンメットニーズとなっ