p.24 抽出テキスト
治癒や安静時疼痛改善を認めたと報告されているが,ABIやtcPO2などを用いたsDVAによる虚血改善評価がなされていない点は留意する必要がある.フォローアップ期間における死亡率は1~33%だが,静脈灌流増加に伴う死亡例は報告されなかった. Schreveらのレビューは2017年に768人のsDVAを対象としており,術後1年の救肢率は75%(95%CI 70~81),術後30日以内死亡率および院内死亡率は0~10%であった.DVAの開存率を示した文献は15文献中6文献のみで,術後1年の開存率は59~71%であり,術後2年ではさらに10%程度低下した.これらの結果はエビデンスの質としては低いものの,no-optionと診断されたCLTI症例の大切断回避の治療法としての可能性が示唆されている120).このように術後1年で70%程度の救肢率が提示されている一方で, sDVAが有効でない場合の大切断率は23~70%程度と高率であることも認識する必要がある(表7).Hoらは2020年にsDVA,経皮的DVA(pDVA),hybrid DVAを対象と したシステマティックレビューを行ったが,sDVAに関してはSchreveらのレビュー結果と変わりないと結論付けた.また,sDVAの術式自体が画一的でなく,これらに伴う臨床成績について議論することが困難な状況であると言及している121). 創傷治癒率に関しては,重度虚血に伴う広範組織欠損に対してsDVAと遊離組織補填を組み合わせた笹嶋らの報告では67%(6/9例),sDVAと動脈バイパスを併施したMutiranguraらの報告では73%(19/26例)と,sDVA施行なしでは大切断に直面している症例群に対する治療オプションとして提示しうる術式といえる.一方で,組織欠損を伴う症例に対するsDVA単独による創傷治癒に関するエビデンスは少なく,笹嶋らの報告では広範組織欠損に対する創傷治癒率は50%(2/4例)であり,非治癒2人は大切断に至った.同様にMutiranguraらの報告でも,治癒に至 表7 sDVA の報告例(PubMed にて検索,抜粋) 筆頭著者(報告年)症例数観察期間(中央値,月) DVA 施行方 法グラフト 材料中枢吻合部再建静脈弁破壊救肢率/ 大切断率 (術後年数) Sheil GR.106) (1977) 5 -単独GSV -足背静脈- 60%/40% Lengua F.107) (1984) 8 -単独GSV大腿動脈膝窩動脈足部静脈あり38%/記載なしLengua F.109) (1995) 26 -単独GSV大腿動脈膝窩動脈足部静脈あり73%/記載なしMätzke S.110) (1999) 14 3~132(41)単独GSV大腿動脈GSVバルーンカッター57%(1Y)/50% Taylor RS.111) (1999) 18 4~28(17)単独GSV上肢静脈人工血管大腿動脈膝窩動脈足背静脈足底静脈プローブバルーンカッター75%(1Y)/17% Lengua F.112) (2001) 60 1~180単独GSV大腿動脈膝窩動脈足部静脈あり60%/40% Ozbec C.113) (2005) 7 -単独GSV膝窩動脈GSVなし100%/0% Sasajima T.100) (2010) 9 1~36(12)単独(n=4)動脈バイパス併施(n=2)皮弁併施(n =3) GSV大腿動脈膝窩動脈グラフト前脛骨静脈足背静脈足底静脈外科ゾンデF o g a r t y バルーン78%/22% Mutirantura P.119) (2011) 26 5~60動脈バイパス併施GSV -足部静脈あり76%/23%(2Y) Djoric P.122) (2012) 30 (6)単独GSV -足背静脈プローブF o g a r t y バルーン83%/記載なし Houlind K118) (2013) 10 <12単独(n=8)動脈バイパス併施(n=2) GSV人工血管大腿動脈膝窩動脈足背静脈足底静脈Valvelotome (GSV末梢ま で) 20%/70%