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p.19 抽出テキスト

1 BEST-CLI試験

BEST-CLI試験84)は,5ヵ国,150施設が参加し,鼠径靱帯以下の下肢動脈に病変を有するCLIを対象としたRCTである.本研究は,下肢表在静脈の有無によって2つのコホートに分かれている(コホート1:適当な大伏在静脈[GSV]がある群,コホート2:自家静脈を組み合わせて使用する必要がある群).主要評価項目は,全死亡またはMALEの複合であった.コホート1は外科的バイパス群が718人,EVT群が716人で,追跡期間中央値は2.7年であった.主要評価項目は,外科的バイパス群で302人,EVT群で408人に発生し,有意差をもってバイパス群でMALEfree survivalが高かった(ハザード比0.68,95%CI 0.59~ 0.79,P<0.001).コホート2は外科的バイパス群が197人, EVT群が199人で,追跡期間中央値1.6年の間に,主要評価項目は外科的バイパス群で83人,EVT群で93人に発生し,外科的バイパス群とEVT群の間にMALE- free survivalの差はなかった(ハザード比0.79,95%CI 0.58~ 1.06,P=0.12).コホート1では外科的バイパス手術の優位性が示され,コホート2では外科的バイパス手術とEVTの同等性が示された.さらに,副次評価項目(死亡, MALE,MACE[心筋梗塞,脳卒中],など)は両コホートで同等であった.

従来,提唱されてきたPatients risk estimation, Limb Staging, Anatomic pattern of disease(PLAN)コンセプ

ト86)では,外科的バイパス手術の適応に重要な「使用可能な自家静脈」が評価されておらず,BEST-CLIはその問題を解決している.また,MALEを再治療の項目に絞り,1治療有効性の面から深刻でない再介入を除外している点, 2治療効果はないが大切断になっていない状態を評価項目から除外している点は,実際の臨床現場に則していると考えられる.一方,EVT施行に重要な下腿動脈の解剖については考慮しておらず,EVT成功率が低い傾向があるという限界もある.

いくつかのサブ解析も報告されており,血行再建後30日以内の合併症については,MACE,死亡,重篤な有害事象(死亡/生命の危機/入院を要するもしくは入院期間延長を要する/重度機能障害/機能喪失/試験の安全性に関わるもの)において,コホート1,2ともに治療群間の有意差を認めなかった87).初回血行再建後の再血行再建については,major reintervention,any reinterventionはコホート1, 2とも外科的バイパス術の方が有意に少なく(コホート1:ハザード比0.37,P<0.001,コホート2:ハザード比0.53, P=0.007),再血行再建となった症例はともに早期の介入が多かった88).血行再建後のQOL(VascuQOL,EQ-5D, SF-12,PCS,MCS,SF-6D R2,pain numeric rating scale[PNRS])に関しては,術前,血行再建後30日,3ヵ月,12ヵ月,その後12ヵ月ごとに評価した結果,コホート1では両群ともに有意に改善していたが,VascuQOL,SF- 12,MCS,SF-6D R2,numeric rating scale pain ではEVT群の方が外科的バイパス術群より有意に良好であっ

表5 BEST-CLI とBASIL-2 の概要1

BEST-CLI84) BASIL-285)

登録期間2014年8月~2019年10月2014年7月~2020年11月サンプルサイズ2,100 600最終登録患者数1,830 345施設数150(米国,カナダ,フィンランド,イタリア,ニュージーランド) 41(英国,スウェーデン,デンマーク)主要評価項目全死亡またはMALEの複合AFS

副次評価項目• MALE(時期不問)または術後30日以内の死亡• minorな再治療• MACE • 重篤な有害事象• 全死亡までの期間(全生存期間) • 罹患肢の大切断までの期間• 初発MALEまでの期間• 初発MACEまでの期間発行年月日2022年11月7日2023年4月25日雑誌名N Engl J Med Lancet