p.18 抽出テキスト
建術のみならずEVTにおいても,DPIが術後イベントの予防に有効であることが示されている. LEADに対する血行再建術後に低用量DOACを併用するという選択肢が増えた一方で,医療コストを踏まえてどのような患者群に使用することが望ましいか,患者背景,病変やfinalizing deviceにより適応を個々に検討する必要がある.国外のデータではクロピドグレルに対するコスト圧縮効果が示唆された報告がある一方で81),わが国における研究はなく,現時点においては低用量DOACの併用は,通常のDAPTに比較して血栓リスクの高い症例が対象になると考えられる.とくに血栓イベントの既往を有するDESあるいはSG留置後の患者は低用量DOAC併用の適応となるかもしれないが,現時点ではこれを支持するデータは乏しく,今後の検討課題である. 3 まとめ バイパスグラフト,EVTデバイスなどの材質は経時的に改善されてきており,それにより局所の血栓性を低減でき たインパクトは大きい.抗凝固薬,抗血小板薬もともに改善されてきたが,抗血栓療法は血栓イベントリスクが低減すればするほど重篤な出血イベントリスクが増加する側面を有し,常に両者のバランスが必要である.前述のように,血行再建術後の低用量リバーロキサバンによる臨床成績の改善を示すRCTが報告されたが,この出血イベントのジレンマを完全に克服する状況にはない.抗血栓療法を実施する場合には個々の症例の出血リスクを勘案することが必須である. なお,禁煙,血糖管理,降圧,脂質低下などによる全身性の動脈硬化・血栓イベントリスクの低減効果は明白であり,包括的なリスク管理,いわゆる至適薬物療法が前提となることを忘れてはならない. 第3章 包括的高度慢性下肢虚血(CLTI)に 対する血行再建(バイパス/EVT) ● CLTIの血行再建(バイパス術とEVT)に関する最新 の大規模臨床試験はBEST-CLI試験とBASIL-2試験である. ● BEST-CLI試験(コホート1)は,外科的バイパス群 が有意に良好な結果であった. ● BEST-CLI試験(コホート2)は,両群間に有意差を 認めなかった. ● BASIL-2試験は,EVT群が有意に良好な結果であっ た. ● 両試験の違いを理解して,臨床に応用する. ステートメント鼠径靭帯以下の病変を有するsevere limb ischemiaへの 外科的手術とEVTを比較したBASIL試験82)の報告以降,鼠径靭帯以下へのEVTが積極的に施行されるようになった.わが国において外科的バイパス手術とEVTを前向きに比較したSPINACH研究では,治療群間で3年のAFSに差はなかった(52% vs. 52%,P=0.26) 83).この結果から,鼠径靭帯以下の病変を原因とするCLIにおいて,適切な患者選択にて施行された外科的バイパス手術とEVTにおいて,AFSに差がないことが示された. 近年,外科的バイパス手術とEVTの比較に関して,2つの大規模RCT(BEST-CLI試験84)とBASIL-2試験85))の結果が報告された(表5,表6).この2 つのランドマーク試験の背景と主要な結果を述べる.