p.16 抽出テキスト
0.87) 57). CLTIコホートのサブ解析では72),リバーロキサバン併用群で予定外の追加血行再建の3年推定発生率が3.4%減少した.血行再建方法の種類別では,EVTで6.7%の減少,外科手術で2.1%の減少と,いずれにおいても利益が認められた. VOYAGER PAD試験の結果を受け,わが国でも2022年より低用量のリバーロキサバンが下肢血行再建術施行後のPADの血栓・塞栓形成の抑制を効果・効能として保険収載され,使用可能となっている.VOYAGER PAD試験にはわが国からの登録例も含まれているが,その症例数は少数であり,出血リスクを含めたわが国での最適な患者選択と長期的なリスク・ベネフィットのプロファイルについてはまだ十分に検討されていない.このため,欧米のガイドラインではクラス1の推奨がなされているが,本フォーカスアップデート版では出血リスクが低い患者に対する血行再建後の薬物療法として低用量のリバーロキサバン(2.5 mg 1日2回)とアスピリンの併用を推奨クラスIIa,エビデンスレベルBとした.今後,わが国における症例の集積により,出血リスクが低い患者に対する推奨度の変更が考慮される. ただし,本研究からはeGFR 15 mL/min/1.73 m 2未満の高度腎機能低下例は除外されていたため,DOACの恩恵が重症CKDを合併したLEAD患者では示されていないことが重要である. 2 EVT術後 2.1 抗血小板療法 抗血栓療法は,本来は腸骨動脈,大腿膝窩動脈,膝下下腿動脈の領域別に区別して考慮する必要があるが, EVT術後の症例は一般的に多区間に病変を有することが多いために,EVT治療対象部位というよりはEVTにおけるfinalizing deviceによって区別して考えることが多い.腸骨動脈領域であればpercutaneous transluminal angioplasty(PTA)あるいはベアメタルステント(BMS)が使用され,大腿膝窩動脈領域では,interwoven nitinol stent(IWS)を含むベアナイチノールステント(BNS),薬剤溶出ステント(DES),薬剤コーテッドステント,薬剤コーティングバルーン(DCB)あるいはステントグラフト(SG)を使用することが多い.なかでも近年DCBの使用頻度が増えており,それに合わせて抗血小板療法を用いるこ とが多い.膝下下腿動脈については,現時点ではステント治療は適応外であるので,抗血栓療法は1剤のみか,あるいは合併症があればそれを優先した治療レジメンが適用される. これまで多くのデータが示しているとおり,LEADのみを対象とした1次予防においてはアスピリン投与の有効性は疑問視されてきたが,血行再建後に行われる2次予防においてはアスピリンは基礎治療薬に位置づけられ,冠動脈ステント留置後のステント血栓症予防レジメンに準じて, EVT後の抗血栓療法として治療後一定期間のDAPT継続が慣例となっている(図2) 1). 抗血栓療法の選択においては,1DAPTの必要性,2至適DAPT期間,3心房細動,機械弁置換術などの合併疾患による経口抗凝固薬内服患者に対するDAPT,4腎機能障害など出血高リスク患者に対するDAPT,5血栓症高リスク患者に対するDAPTに関して,finalizing deviceの種類に加えて,個々の患者背景を踏まえた検討が必要である.ここでいうDAPTとはアスピリンにP2Y12受容体拮抗薬(クロピドグレルなど)を加えたものを指しており,シロスタゾールはDAPTに含めない. 2.1.1 PTAまたはBNS留置後 1~3ヵ月のDAPTが望ましいとされている(各デバイスのinstruction for use[IFU]での規定は臨床試験結果に基づき異なる).大腿膝窩動脈病変に対しては,6ヵ月間のDAPT群(アスピリン+クロピドグレル)でSAPT群(アスピリン)に比べ1年後のtarget lesion revascularization (TLR)が有意に少ないとの報告がある73).大腿膝窩動脈病変においてシロスタゾールの再狭窄予防効果が報告されており,PTAやBNS留置後には追加を考慮する74, 75).また,CLTI患者の大切断回避にシロスタゾールが寄与する可能性がわが国から多く報告されており,考慮する76). 2.1.2 DCB使用後 国内試験結果より,少なくとも1ヵ月以上のDAPTが望ましいとされている77).DCB不成功に対するステント追加留置症例においては,少なくとも3ヵ月のDAPTが望ましいとされている。 2.1.3 DES留置後 国際共同治験結果から,2ヵ月(DCS)もしくは3ヵ月(DES)のDAPT投与が望ましいとされている78).DAPT継続群はステント血栓症の発生率が低いとの報告もあり,血栓リスクが高く,忍容性の高い患者群に対しては,より