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第2章 抗血栓療法 推奨表3 LEAD 血行再建後の抗血栓療法の推奨とエビデンスレベル 推奨クラスエビデンス レベル 下肢バイパス術後の抗血栓療法においては,グラフトが静脈か人工血管かにかかわらず,出血リスクを評価の上,低用量リバーロキサバンをアスピリンに追加することを考慮する42, 55-57). IIa B 1 外科的バイパス術後 下肢バイパス術後における抗血栓療法の目的は,バイパスグラフト開存率の改善(血栓症による早期グラフト閉塞と,吻合部もしくは静脈弁近傍の内膜肥厚による中長期のグラフト閉塞の予防),肢予後の改善,そしてpolyvascular diseaseにおける心血管イベントの二次予防である.抗血栓療法は,抗血小板薬,抗凝固薬,線維素溶解薬に大別されるが,下肢バイパス術後においては主として抗血小板薬が使用されてきた.しかし近年,抗血小板薬にXa因子阻害作用を持つ経口抗凝固薬を併用するdual pathway inhibition(DPI)の利点に関するエビデンスが加わった. ● 下肢閉塞性動脈疾患(LEAD)における下肢切断, 心血管死亡,心筋梗塞などの予防には抗血栓薬が有効である. ● 抗血栓薬は抗血小板薬と抗凝固薬に大別できる. 心筋梗塞予防などの抗血栓効果に相応した重篤な出血性合併症リスクの増加が抗血栓薬では不可避であり,LEAD治療においても症例ごとの血栓イベントリスクに応じた個別最適化が必須である. ステートメント1.1 人工血管を用いたバイパス術後 1.1.1 抗血小板療法 鼠径靭帯以上の動脈領域においては,人工血管を用いた外科的バイパス術後のグラフト閉塞予防における抗血小板薬投与の要否について,明確なエビデンスはない.一方で,鼠径靭帯以下の動脈バイパス術後の抗血小板薬(アスピリン)投与は,バイパスグラフトの1年開存率を改善すると報告されているが,その効果は主に人工血管バイパスにおいてのみであった58). バイパス術後の開存率改善目的に施行されたアスピリン単独による抗血小板薬単剤療法(SAPT)とアスピリン+クロピドグレルによる抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)のRCTであるClopidogrel and Acetylsalicylic Acid in Bypass Surgery for Peripheral Arterial Disease(CASPAR)試験では,DAPTの優位性は認められなかった59).しかしながら,人工血管バイパスのサブグループ解析においては,DAPTによる開存率改善効果が示されている.同様に,DAPTは全体としてバイパスグラフトの開存率を向上させないが,人工血管のサブグループでは開存率向上と関連することは,米国の大規模データベースでも確認されている60).したがって,人工血管による鼠径靭帯以下バイパスでは,術後6~ 24ヵ月間のDAPT投与を考慮してもよい.長期的な利益と出血性合併症リスクのバランスについては不明である. 1.1.2 抗凝固療法 下肢バイパス術後のワルファリンを用いた経口抗凝固療法の開存率改善効果について複数のRCTが行われたが,総じて人工血管グラフト開存への効果は限定的である一方で,出血性イベントは明らかに増加する58, 61-63).アスピリン単剤と比較し,アスピリン・ワルファリン(PT-INR 1.4 ~2.8)併用療法では死亡と出血イベントが多く,バイパス開存率の改善効果は小口径人工血管の場合に限られた63).これらに基づき,LEAD患者での血行再建後の二次予防を目的としたワルファリン投与は,出血リスクを助長するた