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p.13 抽出テキスト

に,ALIを含む複合アウトカムの発生を低下させることが報告された42).これを受けて,わが国においてもリバーロキサバン2.5 mg錠が下肢血行再建後のPAD患者に対し保険適用となっている.PADを合併したALI患者への血行再建後に同薬剤の投与も考慮してよいだろう.

6 腹部内臓動脈

6.1 急性腸間膜動脈閉塞の治療

推奨表2急性腸間膜動脈閉塞の治療の推奨とエビデンスレベル(2022 年改訂版 表54)

推奨クラスエビデンス

レベル

血栓症による急性腸間膜動脈閉塞症例にはEVT を血行再建の第一選択として考慮する43-45). IIa B塞栓症による急性腸間膜動脈閉塞症例にはEVT と開腹手術のどちらも治療手段として考慮する43-45). IIa B開腹血行再建後では,腸管虚血の有無を確認するためにsecond look operationを考慮する43, 44). IIa C 2022年改訂版からの変更点:引用文献

上腸間膜動脈(SMA)の急性閉塞を生じた場合,末梢側に限局した塞栓症例では腸管切除のみで救命が可能になる場合があるが,より起始部に近い閉塞を伴う大多数の症例では速やかな血行再建が必要となる.外科的血行再建としては,開腹下の血栓除去術やバイパス術が行われる. EVTには,血栓吸引療法,血栓溶解療法,狭窄部に対するステント留置術などが含まれる.ただし,従来SMA閉塞症に対してわが国で使用されてきたUK製剤が供給不足のためほぼ使用できなくなり,血栓溶解療法の施行は著しく制限された.一方,これまで血栓吸引療法はガイディングシースやカテーテルを用いて用手的にシリンジで陰圧をかけて施行されてきたが46, 47),2023年には機械的に血栓を吸引するINDIGOシステムが使用可能となった.急性腸間膜動脈閉塞に対する機械的血栓吸引療法の報告は急性下肢動脈閉塞に比べると少ないが,比較的良好な治療成績が報告されている48-51).血行再建前後の腸管のviabilityの直視下確認や逆行性ステント留置などの観点から,外科的治療とEVTを組み合わせたハイブリッド治療も非常に有用である.術前の臨床所見,CTなどの画像所見から,腸管壊死や腹膜炎の有無,病因(塞栓症か血栓症か)を診

断し,治療方針を決定する43).腸管のviabilityに関しては,臨床所見や検査所見から判断することが難しい場合も少なくなく,試験開腹での評価がもっとも信頼性が高い.

塞栓症では,中結腸動脈起始部近傍でSMA本幹が閉塞することが多い43, 44).開腹下で血栓除去を施行する場合,通常は横行結腸間膜根部近傍でSMAを露出し,動脈を切開して3~4 Frの血栓除去用バルーンカテーテルを用いて塞栓を摘除する.EVTで血栓吸引を行う場合は,大腿動脈または上腕動脈からSMAにガイディングシースやカテーテルを挿入する.腹部大動脈とSMA近位部のなす角度が小さい症例では,大腿動脈からのアプローチが難しい可能性がある.

血栓閉塞は,発症前から存在していたSMA起始部の動脈硬化による狭窄が増悪して生じることが多い43, 44).外科的血行再建としては,大動脈あるいは腸骨動脈をinflowとするバイパス術が行われる.しかし,SMAの血栓閉塞症例では,しばしば大動脈や腸骨動脈の硬化性変化が高度であり,また全身状態が不良で手術リスクが高く,外科的血行再建が困難であることも多い.また,血栓閉塞部は高度石灰化を伴っていることが多く,経皮的なEVTが施行できないケースも少なくない.近年,開腹下でSMAを露出し,逆行性に閉塞部にアプローチしてEVTを施行するハイブリッド治療retrograde open mesenteric stenting(ROMS)の比較的良好な成績が報告されており,腸管のviabilityの確認ができる長所もあるため有用な治療法である52, 53).

血栓閉塞症例では外科的治療に比べEVTの成績が良好であることを示唆する報告が散見されるが,塞栓症については外科的治療とEVTの治療成績に明らかな差はない43-45).腸管壊死が疑われる場合は,開腹下での腸管の観察および壊死腸管の切除が必要であり,経皮的なEVTを先行して施行するより外科的血栓除去術やROMSを選択する方が迅速な腸管血流再開につながる.EVTを施行した場合は,最終血管造影で腸管壁の血流評価が可能である.外科的血行再建後は,術中血管造影での評価が困難な場合も多いが,そういったケースでは蛍光色素静注法が腸管血流評価に有用である54).

血行再建の直後は,不可逆的な虚血性変化の有無を判断することが難しいことも多く,また術中に生じた末梢側の塞栓症や術後の脱水,循環動態の悪化によって腸管虚血が進行する可能性があるため,慎重な経過観察が必要である.血行再建後にSMAにカテーテルを留置し,持続的に血管拡張薬を投与する場合もある.開腹術後においても,腸管壊死の有無を確認するために初回手術の24~48時間後のsecond look operationを考慮する43, 44).