p.99 抽出テキスト
2.4 疾患ごとの心臓移植基準 2.4.1 拡張型心筋症・拡張相肥大型心筋症 同期不全がある場合はCRT などの非薬物治療を含む十分な内科的治療を行ったうえで,以下の所見を認める場合が適応となる.ただし,小児においてはβ遮断薬,ACE 阻害薬の有効性はまだ確立しておらず,必ずしもこれらの薬剤の使用効果を必須の条件としなくてもよい. 12 歳以降(特に6 歳以降)の発症(治療しても改善傾向のない2 歳未満の症例も適応と考える). 2低身長(-2 標準偏差未満). 3診断時のうっ血性心不全. 4治療抵抗性の致死性心室不整脈. 5Near-death experience. 6カテコラミンの使用. 7LVEF < 30%. 8左室拡張末期圧(LVEDP)> 25 mmHg. なお,薬剤性心筋症などの二次性心筋症も,この基準に準ずる. 2.4.2 RCM 小児期の本疾患は予後不良なことが多く,特に低年齢(2歳以下)で発症した症例や,心室収縮力が保たれていても小さな心室に比べて心房の大きな症例では予後が悪く,突然死のリスクが高い.十分な内科的治療を行ったうえで,以下の所見を認める場合が適応となる. 1低年齢発症(特に2 歳以前). 2NYHA 心機能分類III 度以上または乳児・小児心不全重症度ステージC 以上. 3肺うっ血の所見(胸部レントゲン所見[カーリーB 線など],肺動脈楔入圧> 18 mmHg). 4肝うっ血の所見(肝腫大,腹水,肝静脈の怒脹,ときに蛋白漏出性腸症[PLE]). 5心房細動や心房頻拍など不整脈合併. 6診断時の収縮能低下(左室内径短縮率低下). 7心房拡大(左房径/ 大動脈径>1.5),心胸比> 55%. * 原疾患の進行により,心房圧が上昇し肺うっ血のため に肺高血圧や高肺血管抵抗を合併する場合や,肝うっ血のために肝硬変を合併する場合があるので,心臓移植適応判定時にはこれらの評価を行うことが重要である.高肺血管抵抗の場合には心肺移植の適応となる. 2.4.3 左室低形成症候群 Norwood 手術前後で以下の所見を認める場合が適応となる. 1高度三尖弁閉鎖不全. 2低右室駆出率(RVEF) < 30%). 3冠不全(高度上行大動脈低形成など). 4総肺静脈還流異常合併(ただし肺内肺静脈そのものの狭窄や異常がないもの). 2.4.4 先天性心疾患術後または 成人先天性心疾患術後患者 以下の条件のいずれかを満たす場合が適応となる. 1日常生活がきわめて制限されるStage C *の患者(参考値:最高酸素摂取量< 15 mL/kg/ 分,または<健常者の50%). 2高度の体心室機能不全があり,適切な内科的治療にもかかわらず持続または反復するStage D *の心不全. 3あらゆる治療に抵抗性を示し,繰り返し症状を呈する心室不整脈. 4心臓移植を要するが肺血管抵抗が高い場合,強心薬や肺血管拡張薬により肺血管抵抗係数(PVRI)が6 Wood 単位・m 2 未満または肺内外圧差(TPG)(平均肺動脈圧-平均肺動脈楔入圧)が15 mmHg 未満に低下する患者. 5予後不良が予想される以下の構造的・機能的異常を伴う患者.・ 将来的に進行し肺血管抵抗により心臓移植適応外となる 可能性がある肺高血圧.・ 外科的修復術が困難な高度の大動脈弁閉鎖不全または 体心室房室弁閉鎖不全.・ 高度のチアノーゼがあり外科的修復術困難.・ 内科的外科的治療抵抗性のPLE. *AHA/ACC Stage 分類. 2.4.5 単心室型先天性心疾患 単心室型先天性心疾患は,二心室修復術が不可能な複雑先天性心疾患の総称で,通常はFontan 手術の対象となる疾患群である.以下の理由でFontan 手術以前に心臓移植の適応となる場合と,Fontan 手術後に心臓移植の適応となる場合に分けられる. 2.4.6 Fontan 手術前 Fontan 手術の耐術ができない以下の条件のいずれかを満たす単心室症例が適応となる. 1カテコラミンの持続投与が必要な場合.