p.98 抽出テキスト
1.9 その他 院内の小児循環器科・心臓血管以外の専門医,看護師,チャイルド・ライフ・スペシャリスト,臨床心理士,院内学級スタッフはもとより,地元の小児科医,教育機関との連携も重要である.また,移植患者との交流を深め,服薬アドヒアランスの低下の抑制を期待し,移植者スポーツ大会やサマーキャンプの参加も重要である. 2 心臓移植の適応 小児では成人より病期の進行が速い場合があることと,成人で必須とされている検査(心筋生検,運動耐容能検査など)が実施しにくいこと,β遮断薬・ACE 阻害薬の効果についてもいまだ議論があること,小児特有の疾患があること(先天性心疾患など)などから,成人とは違った観点から心臓移植の適応を判定する必要がある. 2.1 乳児および小児の心不全ステージング 小児心不全の重症度スコアリングシステムにはいくつか提唱がある.ここでは米国心臓協会(AHA)/ 日本循環器学会に従い,以下のStage A ~D に分類する(表31) 557-559). 乳幼児では,哺乳力低下,体重増加不良,発育障害,易感染性(特に繰り返す呼吸器感染),多呼吸・努力性呼吸なども心不全のステージングとして考慮する. 2.2 適応となる疾患 従来の治療法では救命ないし延命の期待がもてない小児重症心疾患が適応となる.小児の場合は,心不全によりさらに日常生活が障害され,長期的に著しい成長障害を含む心臓外合併症出現の可能性が高い状態も適応として考慮する.以下に適応となる疾患を示す. 1心筋症:拡張型心筋症,拡張相肥大型心筋症,RCM,不整脈原性右室心筋症ほか. 2二次性心筋症:心筋炎後,川崎病後虚血性心筋症,薬剤性心筋症,筋ジストロフィ,代謝性心筋症ほか. 3先天性心疾患:心機能低下を認める成人先天性心疾患を含む先天性心疾患(未手術,姑息術後,心内修復術後, Fontan 手術後). 4致死的難治性不整脈. 5心臓腫瘍,心室憩室. 6そのほか日本循環器学会が適応と認める疾患. 2.3 再移植の適応 以下の患者は再移植の適応となる. 1心室機能異常および中等度以上のCAV を伴う患者. 2心室機能は正常だが中等度以上のCAV を伴う患者. * 中等度以上のCAV があっても,活動性の急性拒絶反 応がある間は,再移植はすべきでない. * 初回移植から6 ヵ月間は,移植心不全などの特別な場 合を除き,再移植は適切でない. 表31 乳児・小児心不全の重症度ステージ stageリスクと症状例 A心不全に進展するリスクを有するが,心機能は正常で容量負荷を認めない状態心毒性を有する薬剤使用歴,遺伝性心筋症の家族歴B構造的ないし機能的心疾患で,心不全の既往または症状がない状態無症状の心筋症,単心室,修正大血管転換左室拡大を伴う大動脈閉鎖不全C構造的ないし機能的心疾患で,心不全の既往または症状を有する状態有症状の心筋症先天性心疾患術後または未手術例D強心薬の持続投与,機械的循環補助,心臓移植,あるいは緩和ケアを要する終末期心不全の状態有症状の心筋症先天性心疾患術後または未手術例(Rosenthal D, et al. 2004 557)より) Copyright (2004) International Society for Heart and Lung Transplantation., with permission from Elsevier.