p.96 抽出テキスト
第7章 小児の心臓移植 1 小児心臓移植の特殊性 小児の心臓移植は,単に体が小さいというだけでなく,移植適応から移植後管理に至るまで,さまざまな小児固有の特殊性があり,それを熟知することが重要である.またわが国独自の特殊性もある. 1.1 心臓移植適応と待機中管理 適応疾患は,大きく心筋症と先天性心疾患に二分され,心筋症では成人に比してRCM が多い.適応判定において,体格が小さいため心筋生検ができないことがあり,小児特有の心不全症状(発育不全,易感染性,哺乳力低下など)に注目し,家族のコンプライアンスを綿密に調査することが重要である.体格が大きい場合は多くの植込型VAD が装着できる(3. 機械的循環補助を参照).そのため,VAD装着患児の院内学級の充実や通学などの体制整備が必要である.移植後は生ワクチンの接種ができないため,計画的に必要な生ワクチンを接種しておく.待機中の患児・家族の精神的・経済的支援の点で,チャイルド・ライフ・スペシャリスト,臨床心理士,医療社会福祉士による関与の意義は大きい. 1.2 わが国の脳死臓器提供 小児の法的脳死判定は,平成11(1999)年度厚生省小児脳死判定基準が基本となるが(表30),この基準により判定医に小児科医が加わった.各々の学会専門医または学会認定医の資格をもち,かつ脳死判定に関して豊富な経験を有し,しかも臓器移植にかかわらない医師が2 人以上で行うことになった.被虐待児,深昏睡の原因が代謝・内分泌障害,低体温状態,急性薬物中毒の場合,年齢不相応の低血圧,低体温などは法的脳死判定の対象から除外される. 法改正後2022 年12 月31 日までに,国内で移植時18歳未満の68 人(移植時18 歳未満登録,移植時平均9.4 歳)が心臓移植を受けている(図31) 14).原疾患は,拡張型心 筋症47 人,RCM 10 人,拡張相肥大型心筋症1 人,心筋炎後心筋症2 人,拡張型/ 拘束型混在型心筋症3 人で成人と比べてRCM の占める割合が多く,また男児は33 人であった. 1.3 ドナー・レシピエントミスマッチ 体重差のミスマッチに関しては成人におけるドナー心の適応範囲より許容範囲が広く,特に乳児がレシピエントの場合にはその体重の最大3倍までのドナーが許容されるが,術式,術後管理に工夫が必要である.大きなドナー心もレシピエントの体格に合わせて小さくなることが知られてい 表30 年齢による法的脳死判定 年齢15 歳以上6 ~15 歳未満生後12 週*~6 歳未満判定基準昭和60 年度厚生省脳死判定基準昭和60 年度厚生省脳死判定基準平成11 年度厚生省小児脳死判定基準判定医6 学会専門医2 名以上6 学会専門医2 名以上6 学会専門医2 名以上判定施設5 類型5 類型5 類型2 回の判定間隔6 時間以上6 時間以上24 時間以上その他18 歳未満については被虐待児への院内対応被虐待児への院内対応被虐待児への院内対応* 在胎週数が40 週未満であった者にあっては,出産予定日から起算して 12 週.