p.88 抽出テキスト
運動耐容能は正常レベルまで改善せず491-494),平均最大酸素摂取量は健常人の予測値の50 ~70% 程度である495-497). 4.1.1 除神経 求心性インパルス反応の低下により血管の調節反応は変化する.副交感神経の無支配は安静時心拍数を増加させ,交感神経の無支配は運動時心拍応答を低下させ498),運動時の心拍応答の変化は循環血中カテコラミンに影響を受ける492).移植心にも自律神経再分布が起こるが499),交感神経の再分布は部分的に起こり1 年以上の時間が必要である500).一方,迷走神経の再分布は交感神経に比較すると起こりにくく,2 年以上を要するという報告や501),6 ヵ月以内に再分布しうるという報告がある502).心臓移植後2.5 ~5 年までに38% の患者において自律神経再分布の指標である心拍応答が改善(運動開始30 秒以内に頻拍数が5 bpm 以上上昇)し,その多くが若年者であったが,最大酸素摂取量はこの心拍応答とは関係しなかったとの報告もある503).しかしながら,神経再分布が運動耐容能に与える影響は十分には明らかにされていない. 4.1.2 移植心の生理学 移植後の収縮能は除神経であることから運動開始・終了後の心拍数と心収縮力が副腎から分泌されるアドレナリンによって制御される.除神経およびカテコラミン分泌の影響のため,心拍数は運動開始直後からではなく遅延して増加し,最大運動時のピークは低く,運動終了後に緩徐に減少する(図30).心臓移植患者では最大運動負荷時の心拍数よりも,運動終了1 分後の心拍数のほうが多いこともしばしば経験する.移植心の運動初期のFrank-Starling 機序が主体であり,心拍出量増加は,末梢血管抵抗低下と骨格筋ポンプによる静脈灌流の増加の影響を受ける.しかし,この機序による心拍出量の増加は20% 程度であり,さらなる増加には血中アドレナリンの増加が必要である.除神経のため心筋虚血時の胸痛もみられなくなる.術後早期よりしばしば拡張機能障害を認め,拘束性の血行動態を呈するが504),初期にはドナー心の虚血再灌流障害や心サイズ不適合,長期的には拒絶反応や免疫抑制薬による高血圧, CAV が関わっていると考えられる. リツキシマブ +化学療法残存/ 進行病変 緩和 可能であれば免疫抑制薬減(RIS) リツキシマブ +化学療法中枢神経病変 放射線療法化学療法再発 局所切除/ 放射線療法 局所病変 臨床症状・血液検査,WHO 分類・病期,EBV のステータス,多職種チームと患者・家族とのディスカッション 多巣性病変 低リスク群RIS 後病変残存 リツキシマブ 完全寛解 RIS の継続とモニター中間/ 高リスク群 RIS 後病変残存 再発 残存/ 進行病変 完全寛解 RIS の継続とモニター 再発 図29 PTLD の治療アルゴリズム(Parker A, et al. 2010 489)より) Copyright © 2010 Blackwell Publishing Ltd. Reproduced with permission of John Wiley & Sons Ltd.リスク分類は年齢(60 歳以上:1 点),LDH 値(増加:1 点),ECOG(Eastern Cooperative Oncology Group) パフォーマンスステータス(2 ~ 4:1 点)により決定され,低リスク群は0 点,中間リスク群は1 点,高リスク群は2 点以上とする490)).