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報告されている484).ただし,mTOR 阻害薬メインのレジメンとする場合,拒絶反応が増加する傾向がある485).特にEVL のトラフ値が5 ng/mL を下回るような低い状況で起こりやすい可能性があり,血中濃度のこまめな調整と拒絶が起きないかの慎重な観察が必要である205). 悪性腫瘍に対する治療は通常通り行われるが,免疫抑制剤との相互作用のある薬剤もあり注意を要する.また近年,悪性腫瘍に対する抗PD-L1 抗体や抗CTLA-4 抗体といった免疫チェックポイント阻害薬が使用可能となっているが,これらはT 細胞に対する抑制を解除しT 細胞を活性化させることで抗がん作用を呈する.しかし,T 細胞の活性化は抗がん作用のみならず,グラフトへの拒絶反応も引き起こし,グラフトロスにもつながることが報告されており,使用は避けるのが望ましい486). 3.2 PTLD PTLD は移植後の細胞性免疫抑制状態を背景にみられるリンパ組織や形質細胞の増殖をきたす疾患である.その発生頻度は英国では10 年間で2.4%(年間0.5% 未満)と報告されている487).また,米国からの報告では2000 ~ 2007 年において,10 年間で3.8% のPTLD 発症を認めたが,2008 年以降の発症率が減少しているという報告もある488).小児は成人と比較しPTLD の発症率が高い. PTLD 発症の危険因子としては,移植時の年齢,男性, EBV ミスマッチ(ドナーEBV[+],レシピエントEBV [-]),退院時のCyA 使用があげられる487, 488).また,移植後1 年以内に急性拒絶があった場合,PTLD の発生率が上昇することも知られている(3 年間での発症率1.4% vs. 0.9%) 488). 3.2.1 病態 PTLD は伝染性単核症に類似した多クローン性リンパ増殖症から,単クローン性のリンパ増殖をきたし悪性化することもあるなど多彩な病態をとり,障害される臓器によって,症状や徴候も発熱やリンパ節腫大から下痢,嘔吐,腹痛,消化管出血や呼吸困難,肝障害,腎障害,さらには血球貪食症候群と多彩である. 3.2.2 診断 臨床症状,血液検査,画像検査,病理学的検索から総合的に診断する.移植前EBV 未感染症例と移植時年齢が1 歳未満の症例に対しては,移植後1 年間は定期的(1 ~ 3 ヵ月ごと)にEBV DNA 定量を行うことが推奨されている.血液検査では,原因不明の貧血/ 血球減少,AST/ ALT 上昇,血清LDH,可溶性IL-2 受容体の測定が診断 の参考となる.画像検査の目的は,病巣部位の検索,生検部位の同定に加え病期の確定にある.一般的には頚部,胸部,腹部,骨盤の造影CT 検査を行うが,FDG-PET の有用性が報告されている.さらに,下痢,血便などの腹部症状を認める症例では消化管内視鏡検査の適応となり,中枢神経症状のある症例では頭部MRI や腰椎穿刺,骨髄浸潤が疑われる症例では骨髄穿刺の適応となる.PTLD を確定させるには病理学的診断が必須であり,白血病・リンパ系腫瘍の2008 年WHO 分類を用いる. 3.2.3 治療と予防 PTLD の治療アルゴリズムを図29 489, 490)に示す.免疫抑制薬の減量が最初の治療である.免疫抑制軽減の効果は2 ~4 週間でみられる.腎臓や肝臓移植では免疫抑制薬を中止する症例もあるが,心臓移植後は減量しただけでも急性拒絶反応やCAV のリスクが高まることから,完全に中止することは困難である.mTOR 阻害薬であるEVL が, in vitroでEBV 感染細胞の増殖を抑制するとの報告があり, CNI を減量しEVL を併用する治療も選択されている.悪性リンパ腫の治療薬として使用される抗CD20 抗体製剤であるリツキシマブはPTLD でも有用である.免疫抑制薬減量不応例に対するリツキシマブ単独使用では,1 年全生存率は67% と高いが,再燃しやすいため,単調性(monomorphic)PTLD に対しては化学療法との併用を選択する.悪性リンパ腫では,CHOP 療法(シクロホスファミド+ドキソルビシン+ビンクリスチン+プレドニゾロン)に比べ,リツキシマブを併用したR-CHOP 療法の有効性が報告され,PTLD でも同様に良好な成績が期待される. 4 運動療法(リハビリテーション) 4.1 心臓移植後の特徴 心臓移植後は除神経心であることに加えて,摘出前の状況,摘出時の虚血,拒絶反応などにより心筋障害を認める.また,移植後の収縮能はFrank-Starling 機序が主体となるが491),不十分な変時作用のため,強度の高い運動を行うためには,この機序のみでは不十分であることから,運動への心臓の反応が通常と異なる.さらに重症心不全患者で認められるさまざまな骨格筋異常は移植後速やかに改善することはない.このような複数の因子により心臓移植後の