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p.85 抽出テキスト

e.その他の画像検査

さまざまな低侵襲的な画像検査(ドブタミン負荷エコー452),心臓MRI 453))が,冠動脈の評価に使用されているが,軽度のCAV を描出するには感度が低いこと,CAV進行を予測するための指標が確立していないことから, CAV の評価としては一般化されていない.冠動脈CT においては,狭窄率50% 以上の病変に対して高い陰性的中率(99%)が報告されており454),CAV 進行の低リスク患者における移植後慢性期のフォローアップへの有用性はある.移植心の特性を考慮すると細い冠動脈については描出力が低いこと,除神経心の高い心拍数が,実施の可否に影響を与える.

2.1.2 心筋虚血評価,治療適応のための検査

冠動脈病変の治療の適否は,心筋虚血の有無に基づいて判断されるが,CAV の心外膜冠動脈から心筋内動脈に至るびまん性の病変という特徴からは,心筋虚血の評価も一定ではない455).SPECT を用いた負荷心筋シンチは中等度(ISHLT 分類CAV2-3)のCAV においても診断率は高くなかった455).アンモニアPositron emission test(PET)は,診断率が高いことが示された456).冠血流予備比(fractional flow reserve: FFR)は,冠動脈狭窄に伴う虚血の評価として確立しているが,ISHLT 分類CAV0-1 の患者においても移植後1 年以内にはFFR 低下(<0.80)を認める場合がある点には注意を要する457).また,局所の有意な狭窄病変または冠血管内膜の肥厚がなくてもびまん性の血管の狭小化(negative remodeling)がFFR の低下をきたすことも報告されているため,局所の中等度狭窄病変の治療の適否の判断にも注意を要する458).

2.2 治療

前述の古典的なCAV 進行の特徴(心外膜冠動脈から心筋内動脈に至るびまん性の病変)を考慮すると,進行したCAV に対する冠動脈血行再建術(冠動脈バイパス術や経皮的冠動脈インターベンション)という局所的な治療の効果は限定的とされる.一方で臨床的なCAV の進行形態は多様であり438),局所的な狭窄病変の場合には冠動脈血行再建術が試みられる443, 459).治療適応となる虚血の有無の評価が難しい点は前述の通り課題である455, 457, 458).局所的な治療が困難な病変に対しては再移植が根本的な治療となるが,慢性的で極度なドナー不足からは,わが国においては現実的ではない(10 章3. 心臓再移植を参照). 2.2.1 免疫抑制薬

CAV 進行に対する免疫抑制薬選択の有効性のエビデンスは後述の予防にある.近年のmTOR 阻害薬の報告では,移植後慢性期(2 年以上)のCAV に対しても有効性が示されており245, 415, 460),慢性期に進行したCAV の治療としての有用性も期待される.

2.2.2 冠動脈血行再建術

冠動脈血行再建術が適応となりうる病変に,経皮的冠動脈インターベンションか冠動脈バイパス術のどちらを選択するかは病変形態によって決定されることは,通常の安定冠動脈疾患と同様である461).わが国では,植込型VAD 装着を経て心臓移植を受けていることが多く,ステロイドおよびmTOR 阻害薬の創傷遅延を含めた免疫抑制薬使用での再開胸のリスク,経皮的冠動脈インターベンション後に必要となる2 剤の抗血小板薬の使用の出血リスクなどについて,ハートチームで総合的に議論される必要がある461).抗血小板薬の使用法については通常の安定冠動脈疾患のガイドライン461)や最新のエビデンス462, 463)に基づいて議論される.

最近のメタアナリシスでは,大多数のCAV が経皮的冠動脈インターベンションで治療されており(96.7%),経皮的冠動脈インターベンションが可能なCAV のほうが,冠動脈バイパス術を要するCAV よりも予後がよいことが示された459).経皮的冠動脈インターベンションにおいて,ベアメタルステントに対する薬剤溶出ステントの優位性は示されなかった459).一方で,第2 世代の薬剤溶出ステントは,第1 世代の薬剤溶出性ステントやベアメタルステントと比較してステント内再狭窄率が低いことが報告されている464, 465).遅発性ステント血栓症の発症リスク,薬剤コーティングバルーン466)や生体吸収型ステント467)の有効性については症例の蓄積が必要である.

2.3 予防

CAV を予防するためには,その発生機序(免疫学的機序および非免疫学的機序)から,なるべく急性拒絶反応を発症させないように管理し,また粥状冠動脈硬化症の危険因子である高血圧,脂質異常症,耐糖能障害などをコントロールすることが重要である.また,CMV 感染はCAV の進展に関与するとされ,CMV 感染予防がCAV の進展予防につながることが示唆されている468).それぞれの併存症の治療については別項で記載する.

心臓移植後早期からアスピリンを使用することの有効性