p.83 抽出テキスト
2.1.1 診断のための検査 a.冠動脈造影 CAV の診断のゴールドスタンダードは冠動脈造影検査(Coronary Angiography: CAG)であり,わが国においてもCAG 所見の診断基準に準じたISHLT 分類が用いられている(表24) 440).ISHLT 分類のCAV2 以上は長期予後と関連することが示されている441)ため,新規に進行したCAV1を認めた際に,それ以上のCAV 進行を抑制する治療介入の指標とすることには妥当性がある.心外膜冠動脈から心筋内動脈に至るびまん性の病変を考慮すると,病変の進行(狭窄度)を評価しにくい点には注意が必要である. b.IVUS CAG は冠動脈内腔のシルエットをみるのに対し,IVUSは血管内膜肥厚と血管リモデリングの状態を把握することができる436)(図27). IVUS による明確なCAV の定義は確立されていないが, Stanford 分類442)を用い,MIT 0.5 mm 以上は予後不良で あることが報告されている420).IVUS 上で定義されるCAV はCAG によって定義されるCAV より感度が高く,有病率が上がるが443),CAG によるISHLT 診断基準では病変が描出できていないIVUS 上のドナー持ち込み病変を含むCAV が,以降のCAV 進行と関連性があることが報告されており420),IVUS 上のCAV は,CAV のさらなる進行を抑制する治療介入の指標となり得る. IVUS 上のCAV 進行の定義も明確ではない.心臓移植後1 年目までに0.5 mm 以上のMIT の増加を認めると予後が悪いことが報告されている444).また,心臓移植後1年目から5 年目までに0.35 mm 以上のMIT の増加を認める場合にも心血管イベントと関連することが報告されている445).以上の報告から,1 年間に0.3 ~0.5 mm 以上のMIT の増加を有意な病変進行と評価して,進行を抑制するための治療介入の指標とすることには妥当性がある. また,3D-IVUS の研究では,移植後1 年での内膜増殖 狭小化した冠動脈内腔著明に肥厚した 冠動脈内膜内弾性板 図24 CAV の病理像(松田暉ほか.2012 435)より) 図25 CAV 進行例1 びまん性病変(自験例)図26 CAV 進行例2 局在性病変(自験例)