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な場合には,ホスカルネットやCidofovir(国内未承認)の投与を検討する.腎移植後のCMV 予防治療においては,バラシクロビルとバルガンシクロビルの無作為化非盲検単施設試験にて,バラシクロビルはCMV ウイルス血症を有意に増加させることなく副作用は有意に少なかったと報告されている332).わが国においてはバラシクロビルのCMV感染への適応はないが,今後の選択肢としての可能性を感じる.

5.3 EBV

EBV は主にリンパ球B 細胞内に感染し,B 細胞の無制限な増殖を誘導する.通常はこのような増殖は宿主の細胞性免疫により抑制されているが,心臓移植後の細胞性免疫抑制状態下においてはその制御機構が破綻してB 細胞の無制限な増殖によるPTLD を発症することがある.日本では多くの成人レシピエントは既感染で抗体を有しているが,持続的な潜伏感染の状態にあり,免疫抑制状態下でウイルスが再活性化することによって発症する.一方,若年者や小児では抗体を有していないレシピエントも比較的多く, EBV 抗体ミスマッチ症例では初感染によりPTLD を発症する危険性があり特に注意が必要である333).また抗CD3 (OKT3)モノクローナル抗体を使用した場合やCMV 感染もPTLD の高リスク群となることが報告されている334).

PTLD は伝染性単核症に類似した多クローン性リンパ増殖症から,単クローン性のリンパ増殖をきたし悪性化することもあるなど多彩な病態を示しうる.障害される臓器によって,発熱やリンパ節腫大から下痢,嘔吐,腹痛,消化管出血といった消化器症状や呼吸困難,肝障害,腎障害,さらには血球貪食症候群と症状や徴候が異なる.EBV の活動性のモニタリングにはEBV DNA 定量を定期的に行うことが推奨されているが,その頻度や治療を開始するウイルス量については確固としたエビデンスは認めない.移植時のinduction therapy の影響や,CNI の目標血中濃度を高く維持する移植後早期は,特に注意が必要である.アシクロビルやガンシクロビルなどの抗ウイルス薬の予防的投与が行われることもあるが,現時点ではその有効性を示唆するエビデンスは確立されていない335).PTLD が疑われた場合には,超音波検査,CT,MRI などにより胸腹部,骨盤内の腫瘤やリンパ節の腫脹などの検索を行い,確定診断のために生検を行う.ガリウムシンチグラフィやFDG- PET なども臓器検索には有用である.治療については,まず免疫抑制薬の減量や中止の検討が優先される.抗ウイルス薬としてはガンシクロビルの単独投与もしくはガンマグロブリン製剤との併用投与が行われることが多い.治療抵抗性あるいはモノクローナルなPTLD に対しては,悪性リ

ンパ腫に準じたCHOP 療法(シクロホスファミド+ドキソルビシン+ビンクリスチン+プレドニゾロン)や抗CD20モノクローナル抗体であるリツキシマブの投与を検討する.

5.4 ヒトヘルペスウイルス

HSV,VZV などはいずれも初感染に引き続いて潜伏感染の状態にあり,免疫抑制療法下での再活性化により有症候性となる.HSV は臓器移植後いつでも発症する可能性があり,一般集団よりもHSV 感染のリスクが高いことがわかっている336).これらのウイルスに関してはルーチンでの定期的なモニタリングは推奨されていない337).これらのウイルス感染症ではCMV 感染症に対する抗ウイルス薬の予防投与が同様に有効であることが証明されているが, CMV 感染症の予防が行われていない場合にはアシクロビルやバラシクロビルの予防投与が推奨されている337).

5.5 カンジダ

カンジダ症は心臓移植後における最もよくみられる侵襲性真菌症であり,移植術後1 ヵ月以内の発症が多い.心臓移植後患者においては,C.albicans とC.tropicalis が起炎菌として多いことが報告されている338).局所的な感染として,口腔内,食道,膣などの粘膜や,術後胸骨創部などが想定される.播種性カンジダ症は全ての主要臓器に発症する可能性があり,発熱や罹患臓器に関連した症状を呈する.

侵襲性カンジダ症の診断は主に血液培養によってなされ,診断補助としては血性診断法として(1 →3)-β-D- グルカンが知られている.しかしこれらの検査はいずれも感度が高くなく,症状は非特異的であることが多いため,診断はしばしば困難である339).そのため,宿主のリスク因子,臨床症状,炎症所見,画像,血清診断法,真菌学的検査,病理学的検査,眼科的診察などを併せて総合的に診断を行われなければならない.便,表在皮膚,ドレーン,喀痰,尿の培養からカンジダ菌が検出されても,それ自体が感染を裏付けることにはならないが,少なくとも感染を発症するリスクを把握する上では重要である.また,様々な異なる場所からカンジダ菌が検出された場合は,侵襲性カンジダ症を積極的に疑うきっかけにもなるであろう.

術後早期には消化管への真菌症対策として,アムホテリシンB シロップによる口腔内洗浄および嚥下を食間に実施し,術後1 年目を目途に中止する.侵襲性カンジダ症の治療として以前はアムホテリシンB 製剤が多く用いられてきたが,腎障害その他の副作用の面から,原因真菌がフルコ