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p.68 抽出テキスト

みえる.重度のAMR は,出血,間質性浮腫,筋細胞壊死,毛細血管断片化,混合性の炎症性細胞の浸潤,内皮細胞化膿,および/ または核分裂が存在する場合に報告される.

免疫染色(図21,表20 289))は,パラフィン切片(C4d, CD68)または免疫蛍光切片(C4d,C3d,HLA-DR)の両方で,マクロファージの血管内浸潤と抗体沈着または補体活性化のマーカーを同定する抗体パネルで評価され,強度と分布に従ってスコア化される287).

3.2.4 治療

AMR をきたした場合には心機能低下による心不全に陥ることも多く,場合によっては強心剤や昇圧剤,IABP など機械的循環補助を必要とする場合もある.治療の適応を検討するには心機能障害の有無,病理学的所見,DSA の有無を参考に検討するが,もっとも重要なのは病理学的所見になる286).しかしながら,Biopsy negative rejection (BNR)の場合にも,血行動態が悪化する場合にはAMRを念頭において治療することも検討する290).

そのほかに,pAMR2 でDSA 陽性,あるいはpAMR3であれば心機能障害が明らかでなくても治療介入を検討する.治療薬としてはコルチコステロイドが主体になり, 500 ~1000 mg のメチルプレドニゾロン経静脈的投与3 日間に加えて,以下に詳述する血漿交換や免疫グロブリン, ATG,リツキシマブなどさまざまな治療を組み合わせて行う.治療評価判定には,血行動態の改善や心機能の改善をみるため,BNP などの血液検査,心臓超音波,右心カテーテルなどを用いる.併せて検出されたDSA の抗体量の評価を行うことも重要である.無症状のAMR の治療の是非については十分には確立されていない.しかしながら,無症状のAMR もCAV の危険因子となることや,後々の心血管イベントのリスクが上がると報告されている291).

3.2.5 リスク評価と予防

AMR のリスク評価のために,PRA スクリーニングは,すべての心臓移植候補者に実施し,PRA が高値(10% 以上)である場合は,プロスペクティブクロスマッチまたはバーチャルクロスマッチを実施し,また脱感作療法を検討する.心臓移植の場合にはDSA の特定は移植直前まで不明であるため,脱感作の対象についてはPRA 高値,移植までの待機期間,過去において心臓移植候補者にあがった際にダイレクトクロスマッチ検査で陽性と判定されたことの有無などを総合的に判断して検討する.また移植後も定期的に抗HLA 抗体のフォローを行う. 3.2.6 予後

AMR の半分程度が血行動態の破綻に陥る292)など臨床的なインパクトも大きいが,十分な治療がされれば,生存率が大きくかわることはない291).一方で,移植後1 年以後の晩期のAMR については予後不良で,3 ヵ月生存率が60%,1 年生存率が50% としている報告もある284).無症状のAMR についてはCAV の発症リスクも高く,臨床的な影響も大きいと報告しているものもある.移植後5 年程度で20% にDSA の検出があるとの報告もあり,出現は1年以内が多い293, 294).

3.3 血漿交換療法

心臓移植後においてはAMR の治療として抗HLA 抗体を除去する目的で使用されるが,移植前の抗HLA 抗体存在下での脱感作療法としても用いられる.血漿交換療法には単純血漿交換療法(plasma exchange),二重濾過血漿交換療法(double-filtration plasmapheresis),血漿吸着療法(immunoadsorption plasmapheresis)などの種類がある.血漿吸着療法のほうが治療効果が高いとも考えられるが,現実的に使用可能な血漿交換が限られることもあり,施行可能な方法を選択する46).ただ血漿交換は血液中に漏出している免疫グロブリンの回収するのみであり,直接的に組織の抗HLA 抗体を除去できるわけではない.それゆえにAMR の治療としては血漿交換単独で行うことは少なく,他の治療と一緒に行われることが多い295-297).他の臓器においても血漿交換療法はAMR の治療法として用いられている298).

施行時の懸念点としては蛋白成分の漏出,容量負荷が懸念され,他には出血傾向の増悪,血圧低下,アレルギー反応などが考えられる46).血漿交換単独でAMR の効果について検討したランダム化試験はなく,報告はいずれも少数例である296, 297).

AMR の治療に加えて移植前の脱感作の治療として使用されることがある299, 300).

血漿交換の回数については確立していないが,2015 年のAHA のステートメントでは1 ~7 回/ 週を1 ~4 週おきに行うことが提示され,1 ~2 倍程度の循環血液量の新鮮凍結血漿やアルブミンを置換することを目安とする286). 2023 年のレシピエント管理に関するISHLT のガイドラインでは,週1 ~5 回を1 ~4 週おきに行うと提示されている47).