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形成される.また両者が非協調的に収縮する.これらの結果,血行動態的にはbicaval 法に比べて心房圧が高値で心拍出量は低めとなるとの報告が多い131, 132).また心房内に血流がうっ滞することにより血栓形成が認められることも報告されている133).これらの血行動態への影響や上述した三尖弁逆流発生頻度の違いが生存率に及ぼす影響については,急性期成績はLower-Shumway 法で不良であるとの報告もあるが,遠隔期生存率に関しては両者に差がないとの報告が多い129, 131),一方で,わずかではあるがbicaval法で長期生存率も優れており,可能な場合はbicaval 法を行うべきとする報告もある134).

以上より,bicaval 法/modified bicaval 法はLower- Shamway 法に比べて技術的な難度差はそれほどなく,

長期生存率は同等か若干良好な可能性がある.2005 年のUNOS 集計報告によると,米国ではbicaval 法の方がLower-Shamway 法より多く利用されるようになっている135).また日本国内ではmodified bicaval 法が約7 割の症例に用いられている136).一方で,先天性心疾患で大静脈や左心房の位置関係が正常でない場合にはLower- Shamway 法を選択せざるを得ない.また,大静脈のサイズミスマッチが大きく,大静脈レベルでの吻合が困難な場合や,再手術例で右房周囲の剥離が一部困難である場合にもLower-Shamway 法が適応となる可能性がある.

第5章 心臓移植後の管理

1 移植直後からの全身管理

1.1 術前因子の考慮

レシピエント要因として,術前のECMO と人工呼吸器の使用が心臓移植後1 年死亡率上昇の最大のリスク因子であり,そのほかにVAD の使用,移植前の緊急入院,心臓手術の既往,レシピエントの年齢が若いこと,または高齢であること,eGFR が低下していること,総ビリルビン値が上昇していること,肺血管抵抗が上昇していること,移植時のパネル反応性抗体の上昇などがリスク因子と報告されている139).ドナー要因としては,高齢,左室機能障害(LVEF < 50%),女性ドナーから男性レシピエントへの移植,サイズミスマッチ(ドナーとレシピエントの予測心臓質量比が0.86 未満)が心臓移植後1 年死亡率上昇のリスク因子と報告されている97, 139).術前からこれらの情報を収集し,術後管理に備えることが望ましい. 1.2 モニタリング

術後は集中治療室に入室し,モニタリングは通常の心臓手術後に準じ呼気終末二酸化炭素分圧,動脈血酸素飽和度,体温,心電図,観血的動脈圧,中心静脈圧(または右房圧)を持続的に測定する.肺動脈カテーテルはほとんどの症例で挿入されるため,肺動脈圧,心拍出量,混合静脈血酸素飽和度を連続測定する.心臓移植後患者に対するarterial pressure-based cardiac output(APCO)モニターの使用は十分検討されておらず,心臓手術患者を対象とした研究においてもその精度は低いため使用は推奨されない137, 138).

1.3 循環管理

術後早期の管理として,出血のモニタリングと必要時の早期の再開胸止血術の施行が重要である.通常の心臓手術後の出血量に準じ,術後1 時間で500 mL/ 時以上,術後2 時間で400 mL/ 時以上,術後3 時間で300 mL/ 時以上,術後4 時間で200 mL/ 時以上の出血が認められた場合は再開胸の適応となる140).わが国ではVAD による