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p.53 抽出テキスト

図17 bicaval 法(Jacob S, et al. 2022

126)より) © Jacob S, et al 2022. CC BY 3.0図18 modified bicaval 法

(Jacob S, et al. 2022

126)より) © Jacob S, et al 2022. CC BY 3.0

合を行うことで口径差を解消できる.Modified bicaval 法では右房後壁を橋状に残して連続性を維持しておくことで,bicaval 法で生じうる上・下大静脈の縮みやねじれを予防して吻合部狭窄の発生を防止し,またドナー心のレシピエント胸腔内オリエンテーションを容易にして,過伸展や屈曲を防止するという利点もある.一方,上述した下大静脈長が足りない場合では,使用する静脈パッチの形状をシンプルにできる,という点でbicaval 原法が選択されることがある.

多くの場合,下大静脈吻合後に大動脈吻合を行い, warm cardioplegia を注入し大動脈遮断解除を行う.Bicaval 法/modified bicaval 法ともに上大静脈は端々吻合で行い,すべての吻合を終了する.

4.6 体外循環からの離脱

大動脈吻合の後,terminal warm cardioplegia を順行性に注入する.大動脈遮断を解除し,十分な時間再灌流を行い心機能が回復するのを待って体外循環から離脱する.ドナー心の機能は脳死完成時の障害,保存搬送時の虚血,虚血再灌流障害などにより低下している.レシピエント側の要素としては長年の左心不全による肺高血圧が影響する可能性がある.これらの結果として右心不全が顕在化する場合があり,左心不全よりもむしろこの右心不全の方が問題となることが多い.強心薬,NO 吸入などによっても改善しない場合には右心バイパスなどが必要になる場合もある. 4.7 各手術法のpros/cons

近年わが国の心臓移植術式としてはbicaval 法/modified bicaval 法が多く用いられている.当初報告されたLower-Shumway 法では,術後急性期から右心房の容積拡大と歪みによる三尖弁閉鎖不全症の頻度が高いことが報告されている127).これに対してbicaval 法ではドナー心の右房の容積と形態が保たれ,三尖弁逆流発生は少なくなる.三尖弁逆流は,心筋生検に伴う弁下組織損傷や乳頭筋不全,拒絶反応などに起因する場合もあるが,bicaval 法に比べLower-Shumway 法でよりその頻度が高いとの報告がほとんどであり,やはり心房の拡張,ねじれなどが影響している可能性が高い.

Lower-Shumway 法では右房の長い切開線による洞結節動脈の切断や屈曲・過伸展により洞結節機能不全の頻度が増加すると報告されている.洞機能不全症候群は心臓移植後にみられる不整脈で最も頻度が高く,特に術後急性期に多くみられ,徐脈が改善しない場合,ペースメーカ植込みの適応となる.一方,bicaval 法では大きな右房切開を行わないので,洞結節動脈が保存され,洞結節機能不全の頻度が著しく低下する.この結果として術後ペースメーカ植込みの必要性が低下することが報告されている128, 129).一方で,Lower-Shumway 法でも50 ~60% の症例で遠隔期に洞機能が回復し,ペースメーカが不要になっているとの報告もある130).

Lower-Shumway 法ではレシピエントとドナー心房の両者が残ることにより通常より拡張し形態的に歪んだ心房が