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p.52 抽出テキスト

図16 Lower-Shumway 法(Jacob S, et al. 2022

126)より) © Jacob S, et al 2022. CC BY 3.0

4.5 ドナー心の準備

肺摘出がなかった場合,左心房は両側肺静脈レベルで離断・摘出されているため,左右肺静脈流入部をつなげるように左房後壁を切開し,肺静脈組織をトリミングする.心肺同時摘出の場合には摘出時に左心耳切開によるventingが行われているため,これを縫合閉鎖しておく.

Lower-Shumway 法では右心房を下大静脈から側壁に沿って切開し,なだらかなカーブを描くように右心耳基部に切開を延長する.右房内を観察し,卵円孔開存がないか確認し,あれば縫合閉鎖する.上大静脈も縫合閉鎖しておく.Bicaval 法/modified bicaval 法でも同様に卵円孔開存の有無を確認するが,その他,右心房のトリミングなどは特に必要としない.

4.5.1 吻合

a.Lower-Shumway 法(図16) 126)

LVAD ブリッジ症例ではレシピエント心の左房は高度に拡大している場合が多く,左房カフは小さめにトリミングし,吻合後の歪みおよび僧帽弁逆流の発生を避ける必要がある.レシピエント左上肺静脈流入部とドナー左心耳のレベルから左房縫合を開始する.通常,数針のparachute suture を置いたのち,ドナー心を心囊内に降ろし,全周連続で縫合を行う.縫合完了前に左室ベント用カニューラを右上肺静脈より挿入する.右房は心房中隔の吻合線中央あたりから縫合を開始し,頭側および尾側へ連続縫合を行い,吻合を完了する.次いで肺動脈の吻合に移る.ドナー,レ

シピエント肺動脈断端をトリミングし長さを調節する.長すぎると屈曲し狭窄の原因となるので注意を要する.またねじれが起こらないように方向を確認する.後壁にstay suture などを置く場合もある.大動脈も同様にトリミングする.LVAD ブリッジ症例ではoutflow graft を残さないようにレシピエント大動脈を切離する.肺動脈と同様に連続縫合で吻合する.

以上が一般的な吻合の順番であるが,左房の吻合の後はどのような順番での吻合も可能である.虚血時間が長い場合,大動脈をまず吻合し,再灌流を開始してから以降の吻合を行うこともある. b.Bicaval 法(図17) 126)/modified bicaval 法(図

18) 126)左房はLower-Shumway 法と同様に4 肺静脈一括左房吻合で縫合する.続いて肺動脈吻合を行った後,下大静脈の吻合に移る.心筋虚血時間を短縮する目的で大動脈吻合を先行させる場合もあるが,大動脈遮断解除後は冠静脈洞からの血流が増えるため,視野確保という点では下大静脈吻合を先行させる方が良い.Bicaval 法では下大静脈を端々吻合で縫合する.体格差で下大静脈長が足りない場合は,予め摘出時にドナー心の上大静脈から無名静脈を採取しておき,静脈パッチ形成などで長さを補う方法がある. Modified bicaval 法は右房後壁で上・下大静脈の連続性を残す方法である.ドナー肝の提供があった場合にはドナー心の下大静脈は右房側で切離されていることがあり, modified bicaval 法であれば右房後壁を利用して大静脈吻