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する.最終的には,受諾した心臓移植施設に想定搬送ルートを提示した上で確定し手配する. 提供施設から最寄りの空港までは可能な限り,都道府県消防防災ヘリコプター,または都道府県警察ヘリコプターに協力要請する.ヘリを使用しなくても虚血時間が収まることが予想される場合には,ヘリを使用せず,緊急車両での走行で最寄り空港まで搬送することも多い.緊急走行の手段としては,JOT 所有の緊急車両,自治体消防の救急車,タクシーのパトカー先導となる.天候不良などによりヘリが飛ばないことも想定し,バックアップの搬送手段も調整し手配することもある. 提供施設の最寄りの空港から移植施設の最寄りの空港までは,プライベートジェットのチャーター機となる.心臓搬送時の飛行ルートは,航空管制の特例的な優先扱いにより,通常の定期航空便よりもショートカットし最短ルートとなる. 移植施設の最寄りの空港から移植施設までの搬送手段についても,上記同様,ヘリまたは緊急車両での走行となる. 各空港においても,ヘリやチャーター機の離発着,緊急車両の乗り入れなど特例的な手続きが必要となり,JOT からその都度申請し許可を得ている.ヘリやチャーター機の離着陸については,他の定期航空便よりも優先的な対応を要請し,空港内でスムーズに乗り換えができるよう隣接する駐機スポットの手配や,緊急車両が空港内の駐機スポットまで緊急ゲートから乗り入れられる手配などを行っている. 提供施設から移植施設まで距離が比較的短い場合は,チャーター機を使用せずに,ヘリや緊急車両のみで搬送する場合も多い.また,近隣空港がなく新幹線駅が近い場合には,新幹線で心臓を搬送する頻度も上がっている. このように,心臓搬送は,提供施設から移植施設まで途切れないよう連続的な手配・調整が必要である. 4 心臓移植手術の実際 4.1 はじめに 心臓移植の手術術式のうち,ドナー心とレシピエント心を左右の心房レベルで吻合を行うbiatrial anastomosis 法は,1960 年にLower とShumway がイヌの実験において初めて報告した方法で,1967 年にBarnard らによって世界で初めて施行された心臓移植以降,長らく心臓移植手術手技のスタンダード法として用いられてきた122).その後 1990 年代に右心房の代わりに上下大静脈で吻合を行うbicaval anastomosis 法が提唱され,その長所について多くの報告がなされた123).一方で,Lower-Shumway 法は手技が簡便で体外循環時間や虚血時間が短くて済むという長所があり,依然として多くの症例で用いられている. 4.2 術前準備から手術開始 ドナー手術とレシピエント手術の進行予測に基づいて手術室入室,全身麻酔導入のタイミングを決定する.特に再開胸症例では剥離に要する時間の予測が重要で,ドナー心の到着予測時間から逆算して,全身麻酔導入時間を決定する.わが国の心臓移植レシピエントの多くはすでに左心補助装置(LVAD)が装着されているため,ドナー心到着の少なくとも3,4 時間前にはレシピエントの手術が開始できるように準備をする必要がある.ドナー病院での最終評価でドナー心に問題がないことが連絡された時点で手術を開始することが一般的であるが,レシピエントの条件を勘案して個々の症例ごとに調整を図る. LVAD 症例ではワルファリンを服薬しているため,手術前に凝固能を補正する必要があるが,ビタミンK や新鮮凍結血漿投与では効果発現時間や容量負荷の問題があり,近年ではプロトロンビン複合体製剤(prothrombin complex concentrate: PCC)の使用が推奨されている.PCC は米国心臓病学会において抗凝固薬内服患者の重篤出血に対する第一選択薬として推奨されており124),術後血栓塞栓症の発生率も上昇させないと報告されている125). 再開胸症例では大腿動静脈を露出し,緊急カニュレーションに備える.上行大動脈やoutflow graft,右心室が胸骨後面に強固に癒着している症例では,開胸時にこれらを損傷し循環停止を余儀なくされることがある.術前CT などから損傷なく剥離することが不可避と予想される症例では,開胸前に両側鎖骨下動脈および右総頚動脈にあらかじめカニュレーションしておくことで循環停止時に速やかに脳分離循環を確立することができる. 4.3 体外循環の確立 ドナー心到着のタイミングに合わせてカニュレーションを開始する.全身ヘパリン化の後,上行大動脈遠位部に送血管を挿入し,上下大静脈に脱血管を挿入する.この際, LVAD 装着症例ではoutflow graft 吻合部はすべて切除するため,その遠位での大動脈吻合の余地を残して大動脈遮断鉗子がかけられるよう,十分に高位の大動脈まで剥離し,