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p.49 抽出テキスト

で,定期的な体位変換,気道内吸引は,肺感染症,無気肺を予防するため必要であるが,心臓・血管反射なども消失するため,血圧変動もおき,体位変換,気道内吸引ができないこともある.そのため前述の抗利尿ホルモンによる血圧管理は重要となってくる.

肺の評価のため,気管支鏡は必須の検査であるが,深部の痰の吸引ができない場合にも適応となる.定期的に胸部レントゲンで無気肺,肺炎の経過を観察していくことも重要である.

2.3.3 血液データ,体温管理

高Na 血症は,肝・膵臓機能に悪影響を及ぼすことがあり,ドナー選択基準でも慎重な対応が必要となってくる. Na の正常化もドナー管理において重要である.高Na 血症の補正のためには,Na 無添加の補液をすることが一般的であるが,ADH を補正することで,Na 利尿が促進される.目標値は135 ~150 mEq/L となる.脳死による尿崩症では,循環血液量が減少するため,多量の輸液により血液が希釈され,K 値も低下することがある.血清K 値も適宜,中枢ルートから補正し,3.8 ~4.5 mEq/L に補正する.ヘマトクリットも同様に低下するので,30% 以上になるように適宜輸血し補正する.高血糖となる場合は,血糖値120 ~180 mg/dL を目標に,インスリン持続投与などによる補正を考慮する.

脳死後は,体温の調整機能もできなくなり,低体温症となりやすいため,35.5 ~36.5 ̊C 目標に補正する.

2.3.4 感染症の管理

脳死後の管理が長くなると,易感染性となり,無気肺からの肺炎,褥瘡・各種カテーテルからの感染症を起こしやすい.気管内吸引,体位変換なども重要であるが,感染が疑われるときには細菌検査を行い,感受性のある抗生剤を

使用する.また,摘出手術の際には,開心術同様,1 時間前に抗菌薬を投与し,皮膚切開前に抗菌薬の血中濃度を高くすることが重要である.

3 移植心の搬送

3.1 虚血時間と臓器搬送時間

心臓移植希望者(レシピエント)選択基準2)では,虚血許容時間について「臓器提供者(ドナー)の心臓を摘出してから4 時間以内に血流再開することが望ましい」と記載されているが,ドナー体内での大動脈遮断(クロスクランプ)からレシピエント体内での血流再開までの時間を最短とすることが重要である.

わが国は,米国や,国境を越えて臓器が配分される欧州に比べて国土が狭く,離島を除けば主要な空港間は飛行機で2 時間程度に収まる.搬送距離や時間を考慮しリージョン制での心臓配分を行っている諸外国も多いなかで,わが国では特にリージョン制を導入せず,日本全体で個々の事例での搬送時間を勘案し,移植の可否を判断している.

3.2 心臓搬送手段の調整

心臓搬送手段については,主としてJOT が手配や調整を行う(図14).臓器提供の承諾後,心臓移植希望者(レシピエント)選択基準に従って心臓移植候補者が選定され,提供施設から各候補者の移植施設までの搬送手段を想定

移植施設

空港

虚血許容時間

4 時間以内

搬送2 時間以内空港

提供施設

図14 心臓の搬送