p.42 抽出テキスト
1.6 ドナー心の選択基準 ドナーの状態はさまざまである.血行動態の安定化,恒常性の維持,尿崩症からの循環血液量や電解質異常の是正が行われて,ドナー心の状態が評価されるべきである.メディカルコンサルタントが介入する前にドナーの状態が評価され,斡旋の可否が判断されている.すなわち,斡旋が行われる段階で絶対的不適応のドナー心ではないということであり,最終的には各々の施設での判断で受諾が決定されている. 標準的ドナー条件がJOT により示されている(表12) 96).一方で,これらの条件を満たさないドナーを拡大基準ドナー(いわゆるマージナルドナー)という.標準的ドナー条件をすべて満たすドナーはそう多くなく,何らかの逸脱要 表11 ドナーにおける循環管理・人工呼吸管理の目安 循環管理の目安血圧成人(13 歳以上):収縮期血圧 ≧ 90 mmHg 1 歳未満:収縮期血圧 ≧ 65 mmHg 1 歳以上13 歳未満:収縮期血圧 ≧ (年齢× 2)+65 mmHg体温36 ± 0.5 ̊C尿量≧ 0.5 ~1.0 mL/kg/ 時,乳児は1 ~2 mL/kg/ 時ただし,血管内脱水に対しての利尿薬は禁忌動脈血酸素飽和度≧ 93%血液ガスph:7.3 ~7.5 PaCo2:35 ~45 mmHg PaCo2:70 ~100 mmHg人工呼吸管理設定の目安を優先し,ある程度のPaCo2 高値,PaO2 低値は容認する.血清ナトリウム脳死判定前:< 155 mmol/L 管理目標:135 ~150 mmol/L血糖値120 ~180 mg/dLヘモグロビン値Hb ≧ 7 g/dL,Ht ≧ 20%心臓超音波検査左室駆出率(EF)≧ 45%血行動態不安定時に追加を考慮するもの心係数≧ 2.4 L/ 分/m 2 Stroke volume variation <10 ~15% 人工呼吸管理の目安一回換気量6 ~8 mL/kg(理想体重)プラトー圧< 30 cmH2O PEEP 8 ~10 cmH2O より開始,SpO2 を保つための最小限F1O2 との兼ね合いで増加させて良い. F1O2 SpO2 ≧ 93% を目標に可能な限り低値.持続的な陽圧の維持閉鎖式吸引回路を使用する.一時的な陽圧解除後にはリクルートメント手技を行う. (厚生労働科学研究費補助金 地域医療基盤開発推進研究事業.主任研究者 嶋津岳士・田﨑修.「5 類型施設における効率的な臓器・組織の提供体制構築に資する研究-ドナー評価・管理と術中管理体制の新たな体制構築に向けて」令和4年3月.より92) 抜粋) 表12 心臓臓器提供者(ドナー)適応基準 1.以下の疾患または状態を伴わないこととする. (1) 全身性の活動性感染症(2) HIV 抗体,HTLV-1 抗体,HBs 抗原,HCV 抗体などが 陽性(3) クロイツフェルト・ヤコブ病およびその疑い(4) 悪性腫瘍(原発性脳腫瘍および治癒したと考えられるも のを除く) 2.以下の疾患または状態を伴う場合には,移植の適応を慎重に検討する. (1) 心疾患の既往(2) 心電図,心エコー図などによる心疾患の所見(3) 大量のカテコラミン剤の使用(例:ドパミン10 μ g/ kg/ 分にても血行動態の維持が困難な場合) (4) HBc 抗体陽性3.年齢:50 歳以下が望ましい. (公益社団法人 日本臓器移植ネットワーク.臓器提供者(ドナー)適応基準96)より)