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p.35 抽出テキスト

Status 1A,Status 1,Status 2 の登録者が感染症などの除外条件によって一時的にリストから外れた状態であり,除外条件が解消されれば元のStatus に戻る.

年齢については,18 歳未満のドナーからの心臓は登録時18 歳未満の希望者に優先提供される.18 歳以上のドナーからの心臓提供は,登録時60 歳未満の希望者が優先される.医学的緊急度,年齢条件,血液型条件が同一の場合は, Status 1A の登録者間ではStatus 1Aの日数,Status 1 の登録者間ではStatus 1の日数,Status 2 の登録者間では登録日からの日数が長い順となる.

4 待機中の薬物治療

4.1 VAD 装着前の薬物治療

待機中に薬物療法を適正化する意義は,安全に心臓移植まで到達することであるが,ときにリバースリモデリングにより喫緊の心臓移植を回避しうるまで心機能が改善することもある.原則としてレシピエント登録には,ガイドラインを遵守した薬物治療(GDMT)が必須である.レシピエントの多くは左室駆出率(LVEF)の低下した心不全であり, ACE 阻害薬・アンジオテンシンII 受容体拮抗薬(ARB)/ ARNI,β遮断薬,MRA,SGLT2 阻害薬を導入のうえ,忍容性の許す限り目標用量まで増量し,イバブラジンやベルイシグアトを適宜併用する48-50).うっ血には利尿薬を併用し,経口強心薬が併用されることもある.これらの治療は,忍容性のある限り継続し,中止しない51).しかしながら,血圧や腎機能の低下,自覚症状の悪化などに伴い,レニン-アンジオテンシン系阻害薬やβ遮断薬を減量したり,経口強心薬や利尿薬を増量することもある.

Status 2 で登録された場合にはこのような薬物治療を継続するが,非代償性心不全に陥った際には,入院のうえ静注強心薬を投与する.静注強心薬にはドブタミン,ドパミン,ノルアドレナリン,ホスホジエステラーゼ(PDE)3 阻害薬(ミルリノン,オルプリノン)などがあるが,ドブタミンまたはPDE3 阻害薬を単独使用または併用することが多い.実際,2022 年AHA/ACC/HFSA 心不全診療ガイドライン51)でも,GDMT 抵抗性の重症心不全患者において, VAD または心臓移植までの橋渡し治療として,静注強心薬の持続点滴を行うことが推奨されている(推奨クラスIIa,エビデンスレベルB-NR).およそ,ドブタミン3μg/ kg/分程度,PDE3 阻害薬0.2μg/kg/分程度が安定的に管理可能な上限と考えられており,それ以上の増量が必要な

場合には,その他の静注強心薬の投与や機械的循環補助をためらわない.静注強心薬の減量により,血圧低下や倦怠感の悪化,肝臓・腎臓などの臓器障害の増悪を認めるなど,離脱が困難な場合(INTERMACS profile 3)には,Status 1 となる.

VAD 装着術前の肺高血圧症に対するPDE5 阻害薬,エンドセリン受容体拮抗薬などの肺血管拡張薬により術後の右心不全を回避しうるという明確なエビデンスは確立していない52-54).

不整脈や心拍数・調律管理も血行動態の安定化に重要である.重症心不全患者における心室不整脈の治療においてはICD が第一選択であるが,心房細動や心房頻拍では,抗不整脈薬の調整や電気的除細動,カテーテルアブレーションなどを考慮し,積極的にリズムコントロールを図る.難治性不整脈は,待機中とりわけVAD 装着後の右心不全リスクとなるため55),可能な限り事前に是正しておくことが望ましい.

4.2 VAD 装着後の薬物治療

VAD 装着患者において,心不全治療薬継続の効果を検討した大規模無作為化研究はない.しかしながら,心不全治療はVAD 装着患者に継続するのが妥当と考えられている.実際,非虚血性心筋症の患者では,VAD 装着後もリシノプリル,カルベジロール,スピロノラクトン,ロサルタンに加えて,クレンブテロールを積極的に投与することで,より強力な心筋の回復が報告されている56, 57).また最近のRESTAGE-HF 研究では,リシノプリル,スピロノラクトン,ジゴキシン,ロサルタン,カルベジロールといった心不全治療を継続した非虚血性心筋症患者36 人のうち19人がVAD を離脱しえた58).

このため,2023 ISHLT の補助人工心臓ガイドライン59)では,心不全治療薬としてのACE 阻害薬,ARB またはARNI は,VAD 装着後も忍容性がある限り使用されるべきであるとしている.β遮断薬もまた,心不全治療およびレートコントロール目的に,継続的な使用が推奨される.腎機能が保たれた患者では,ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬の投与により,カリウム補給の必要性を抑えることができる.SGLT2 阻害薬もその有益性に基づいて,VAD装着患者において使用が考慮される.

VAD 装着後は,抗凝固薬(ワルファリン)と抗血小板薬(アスピリン81 ~325 mg/日)を投与する55, 59).プロトロンビン時間国際標準比(PT-INR)のターゲットはデバイスによって設定が異なる.しかしながら近年,HeartMate 3 装