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p.28 抽出テキスト

2.1 免疫学的適合性

2.1.1 HLA

心臓移植後の拒絶反応はHLA の相性がよければ起こりにくく,移植後の免疫抑制薬の投与量も少なくてすむとされているが,HLA 型の一致は心臓移植では選択基準にはされていない33).しかし,上記のリスク評価の観点から,あらかじめ同定することが求められる.臓器移植で特に重要なのはHLA-A,HLA-B,HLA-DR の3 種類であり,最低限この3 種は測定する.

2.1.2 抗HLA 抗体(パネル試験)(PRA)

心臓移植待機患者は,輸血,妊娠などにより,さまざまなHLA 抗原に感作され抗体を保持している可能性があり, PRA 高値の患者はダイレクトクロスマッチ陽性のため心臓移植までの待機期間が延長する可能性が高いのみならず,移植後の死亡率,拒絶反応,CAV の発生率が高まることが示唆されている.

PRA 陽性の患者は,どのHLA 抗原に対する抗体がどの程度存在するのか,抗原同定検査まで行って確認することが望ましい.また心臓移植待機中もPRA の推移を観察

し,PRA 高値の場合には移植手術前に脱感作療法を検討する必要がある34).

2.2 心機能・身体機能評価, 心不全の原因検索

2.2.1 一般的検査

一般血液検査,胸部レントゲン,12 誘導心電図,心臓超音波検査は心不全診療における必須の検査である.その経時的変化を確認することは病態の進行を把握するうえで役に立つ.心電図は,ペーシングを要している症例の場合は,ペーシングオフもしくはペーシング前の心電図も確認する.ホルター心電図は,合併不整脈の評価と植込み型除細動器(ICD)や両室ペーシング機能付き除細動器(CRT-D)の適応検討に必要である.血液生化学検査や免疫学的検査では,心臓サルコイドーシスにおけるリゾチームやアンジオテンシン変換酵素(ACE)活性,可溶性インターロイキン(IL)-2 受容体,心アミロイドーシスにおける血清M蛋白や尿中Bence-Jones 蛋白,Fabry 病におけるαガラクトシダーゼ活性などは診断の有力な手がかりとなる32, 35).

表7 心臓移植の相対的除外条件

a.腎機能障害

a.1 eGFR >35 mL/min/1.73 m

2 であることが望ましいが,30 ~35 mL/min/1.73 m 2 の場合はシスタチンC によるeGFR や蓄尿によるCCr の値などを参考に腎臓専門医の意見により可逆性を判断. b.肝機能障害c.活動性消化性潰瘍d.糖尿病

d.1 単純性網膜症があったとしても移植適応除外とはならない. d.2 インスリン依存の場合には糖尿病専門医の「移植後免疫抑制剤使用中も血糖コントロールが十分可能であり,重

大な合併症が生じる可能性は低い」との意見が必要. e.精神神経症(自分の病気,病態に対する不安を取り除く努力をしても,何ら改善がみられない場合に除外条件となるこ

とがある) f.肺梗塞症の既往,肺血管閉塞病変g.移植後の生命予後が不良と考えられる全身性疾患

g.1 心外のサルコイドーシスの所見がある場合には,それが少なくとも5 年間の予後を規定していないことについて専門医が認めることが条件となる. g.2 Duchenne 型筋ジストロフィーは適応外. g.3 Marfan 症候群は解離して拡大した大動脈は原則全て修復されていること. g.4 ミトコンドリア病は他臓器の合併症を慎重に判断. g.5 心アミロイドーシスも原則除外. h.高度肥満

h.1 BMI >30 は高度肥満として取り扱う(BMI 25 ~29 は将来の減量を前提として適応とする場合がある). i.治療アドヒアランス不良(日本循環器学会心臓移植委員会.2024. 12 改訂29)より)