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p.27 抽出テキスト

1.3 相対的除外条件

相対的除外条件を表7 29)に示す.腎機能障害,肝機能障害を合併している患者は腎臓内科・肝臓内科専門医による腎臓・肝臓の可逆性に関する評価が必要である.糖尿病に関しては,単純性網膜症があったとしても移植適応除外とはならない.また,インスリン依存の場合には糖尿病専門医から「移植後免疫抑制剤使用中も血糖コントロールが十分可能であり,重大な合併症が生じる可能性は低い」ことの確認,意見が必要である.精神神経症に関しては,自分の病気,病態に対する不安を取り除く努力をしても,何ら改善がみられない場合に除外条件となることがあり,精神科専門医の評価・意見が必要である.肺梗塞症の既往,肺血管閉塞病変に関しても評価が必要である.また,膠原病などの全身性疾患の場合は心外病変が予後を規定することかどうかの専門医の評価,意見が必要である.また,心外のサルコイドーシスの所見がある場合には,それが少なくとも5 年間の予後を規定していないことについて専門医

が認めることが条件となる.アドヒアランス不良や高度肥満も相対的除外条件となりうる.

2 適応判定に必要な臨床検査

心臓移植の適応判定に必要な臨床検査は,1適応基準を満たすか,2除外基準に該当しないか,3心臓移植手術あるいは術後の予後や生活の質(QOL)に支障をきたすような併存疾患や問題点はないか,という点を考えて行われる.心臓移植の適応判定のために用いられるデータシートを記載するために必要なおもな臨床検査について,表8 に示す.以下にそれぞれの検査について概説する.

表6 心臓移植の絶対的除外条件

絶対的除外条件a.肝臓,腎臓の不可逆的機能障害(肝硬変,維持透析中) b.活動性感染症

b.1 HIV:抗体陽性 原則除外b.2 HTLV-1/2 抗体陽性:個別に移植適応の判断b.3 HBV:肝硬変や肝癌を併発しておらず,DNA コピー数が低titer であれば登録可能.核酸アナログ使用下で低

titer の場合も移植登録可能. *1 b.4 HCV:肝硬変や肝癌を併発しておらず,抗ウィルス薬投与終了後PCR 陰性を維持している場合に登録可能.抗

ウィルス薬投与中の症例はその時点では登録不可*2 c.肺高血圧症(肺血管抵抗が血管拡張薬を使用しても 6 Wood 単位以上) d.薬物依存症

d1 禁酒・禁煙の宣言が必須*3 e.悪性腫瘍 なお以下の条件を満たす場合には移植適応とする

e.1 完全寛解後5 年以上経過している症例(専門医の意見書付き) e.2 根治的がん治療後のホルモン療法などの併用がん治療が不要で,地域がん診療連携拠点病院基準以上の認可をう

ける医療機関のキャンサーボードにおいて,5 年無再発生存率が,95% 以上と推定されると判断された症例.

*4

*1 考慮される移植時期の3 ヵ月以上前より予防的に核酸アナログを使用開始することが望ましい.登録にあたっては肝臓専

門医のコンサルトを受け,意見書を添付すること.6 ヵ月ごとの経過観察結果を報告する.「自施設内判定」は適用されない. *2 登録にあたっては肝臓専門医のコンサルトを受け,意見書を添付すること.ただし,6 ヵ月ごとの経過観察結果を報告す

る.「自施設内判定」は適用されない. *3 喫煙歴のある症例は入院による受動的禁煙の確認のみでは不十分であり,退院後の確認が必須であると考えられ,

Destination therapy などの対応にて退院した後の禁煙状況の確認が望ましい.またそのような対応が難しい場合には「6 ヵ月報告」を義務化する. *4 対象部位候補例として以下があげられる.[ 胃がんI期,大腸がんI期,乳がんI期,子宮頸がんI期,子宮内膜がんI期,皮膚がんI期,低リスク甲状腺がん,喉頭がんI期,腎がんI期,精巣がんI期,前立腺がんI期,など](あくまで,がん非専門医に対する例示であって,その他のがん種について除外するものではない).本基準の対象患者においては,移植登録後「6 ヵ月ごと報告」を義務化する.また「自施設内判定」は適用されない.移植登録後,新規がん合併により Status  3 になった症例についても本基準を適応して,Status 1/2 への復帰を再評価可能とする. (日本循環器学会心臓移植委員会.2024. 12 改訂

29)より)