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第3章 成人心臓移植の適応と術前管理 1 心臓移植の適応 心臓移植に関する適応患者判定・評価は,各施設内検討会および日本循環器学会心臓移植委員会適応検討小委員会の2 段階審査を経て適応が決定される.2015 年5 月1日からは50 症例以上の心臓移植実施実績があり,心臓移植適応判定,心臓移植医療が適切に行われていると日本循環器学会心臓移植委員会で判断された施設においては, 111 歳未満の非先天性心疾患の症例,218 歳未満の2心室循環の先天性心疾患の症例,3すべての単心室循環の症例を除いて,各施設内での適応検討委員会で適応と判定されれば,直接JOT への移植希望登録が可能である28). 実臨の心臓移植の適応は表3 の事項をおもに考慮し決定される29).これらの事項を原則とし,実際の適応疾患,除外条件が定められている. 1.1 適応疾患 適応疾患を表4 に示す29).心臓移植の適応となる疾患は従来の治療法では救命ないし延命の期待がもてない重症心疾患である(表5) 29).すべての疾患において,心臓以外の病態が今後予後を決定しないかどうか判断する必要がある.また,現在のわが国の移植待機期間(2022 年末でStatus 1* での待機期間が平均1,769 日) 30)を考慮した申請時期の判断が必要である. 1.1.1 拡張型心筋症および拡張相の肥大型心筋症 拡張型心筋症に関しては鑑別が重要である.はじめに,心臓サルコイドーシス,脚気心,Fabry 病のように,特異的な治療法が存在する疾患を鑑別する.これらの疾患であることが判明した場合は,原則的には特異的治療法を行った後,または積極的治療法が無効であると推測される病態でなければ移植登録をすべきではない.第二に,アミロイドーシス,筋ジストロフィーに伴う心筋疾患,ミトコンドリ* Status 1:VAD を装着中,または人工呼吸管理を受けている状態,あるいはカテコラミンなどの強心薬の持続的な点滴投与 を受けている状態(表9 を参照). 表3 心臓移植の適応決定に際し考慮すべき事項 移植以外に患者の命を助ける有効な治療手段はないのか?移植治療を行わない場合,どの位の余命があると思われるか?移植手術後の定期的(ときに緊急時)検査とそれに基づく免疫抑制療法に心理的・身体的に十分耐え得るか?患者本人が移植の必要性を認識し,これを積極的に希望すると共に家族の協力が期待できるか? (日本循環器学会心臓移植委員会.2024. 12 改訂29)より) 表4 心臓移植の適応となる疾患 心臓移植の適応となる疾患は従来の治療法では救命ないし延命の期待がもてない以下の重症心疾患とする. 拡張型心筋症,および拡張相の肥大型心筋症虚血性心筋疾患その他(日本循環器学会および日本小児循環器学会の心臓移植適応検討会で承認する心臓疾患) (日本循環器学会心臓移植委員会.2024. 12 改訂29)より) 表5 心臓移植の適応条件 不治の末期的状態にあり,以下の条件を全て満たす場合.ガイドラインに定められた標準治療(guideline-directed medical therapy: GDMT)ではNYHA3 度ないし4 度から改善しないステージD 心不全,または現存するいかなる治療法でも無効な致死的重症不整脈を有する症例(modifier A を含む).運動耐容能の著しい低下(目安として最大酸素摂取量peak VO2が14 mL/kg/min 未満または年齢補正正常値の50% 未満),または静注強心薬ないし補助循環に依存している状態.年齢は当面,65 歳未満とする.本人およびケアギバー(多くの場合家族)の心臓移植に対する十分な理解と協力が得られること. (日本循環器学会心臓移植委員会.2024. 12 改訂29)より)