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p.17 抽出テキスト

月に施行された臓器移植法により,本人の書面による臓器提供の意思表示があり家族が臓器の摘出を拒まない場合において,脳死した者の身体を含む死体から臓器を摘出できることとなった.しかしながら,書面での意思表示については遺言可能年齢に準じて15 歳未満は無効とされ,事実上,国内で小児心臓移植を受ける道が閉ざされた状況にあり,かつ書面での意思表示の普及が進まず,全体の脳死下臓器提供件数も年間10 件前後と低迷していた.

2008 年,国際移植学会によるイスタンブール宣言24)では,「移植を必要とする国民に対して,自国でドナーを確保するよう努力すべきである」と記され,わが国において臓器移植法改正の機運が高まった.2010 年7 月に臓器移植法が改正され,本人の書面による意思表示が不明な場合,家族の書面による承諾により脳死下臓器提供が可能となった.

3.2 基本的理念および医師の責務

臓器移植法第2 条の基本的理念において,1臓器提供の意思は尊重されなければならない,2臓器の提供は任意にされたものでなければならない,3臓器の移植は人道的精神に基づいて提供されたものであることから,必要とする者に対して適切に行わなければならない,4移植を受ける機会は公平に与えられるよう配慮されなければならないと定められている.

また,臓器移植を行う際の医師の責務については,臓器移植法第4 条で,臓器移植を行うに当たって診療上必要な注意を払い,移植を受ける者またはその家族に対して必要な説明を行い理解を得るよう努力しなければならないと定められている.

3.3 脳死判定の要件

脳死下臓器提供の前提となる法的脳死判定は,臓器移植法第6 条第3 項で,1本人が臓器提供の意思を書面により表示し,かつ脳死判定を拒否する意思を表示せず,本人の家族が脳死判定を拒まない場合,2本人が臓器提供の意思を書面により表示しておらず,かつ脳死判定を拒否する意思を表示せず,本人の家族が脳死判定の実施を承諾した場合,のいずれかに該当すれば行うことができ,2 回目の脳死判定終了時刻を死亡時刻とすると定められている.

3.4 臓器提供の意思表示

本人の書面による意思表示の有効性については,指針第1 において,民法上の遺言可能年齢などを参考として,15

歳以上の者の意思表示を有効なものとして取り扱うこととなっている.一方で,臓器提供や脳死判定の拒否については書面でなく口頭によるものであっても年齢にかかわらず有効であり,臓器摘出および脳死判定を行うことができない.

なお,知的障害者などの臓器提供に関する有効な意思表示が困難となる障害を有する者の場合,15 歳未満については,2023 年12 月の指針の改正により障害のない者と同様に臓器提供が可能となった.15 歳以上については,主治医などから家族その他の本人の意思を推定しうる者に対する病状や治療方針の説明のなかで,個別の事例に応じて慎重に判断することへ改正される.

3.5 親族への優先提供

臓器移植法第6 条の2 において,書面による臓器提供の意思表示に併せて,親族優先提供の意思を表示することができることとされている.また,臓器を優先的に提供できる親族の範囲は,指針第2 において,配偶者,子および父母と定められ,事実婚や養子縁組は認められない(特別養子縁組は可).親族優先提供の意思は臓器を提供する意思に併せて書面により表示する必要があり,自殺による親族への優先提供を行うことができない.親族関係であることについては公的証明書で確認することとなっている.

3.6 遺族および家族の範囲

臓器摘出や脳死判定の承諾に関する遺族および家族の範囲は,指針第3 において,一般的,類型的に決まるものではなく,死亡した者の近親者のなかから,個々の事案に即し,慣習や家族構成などに応じて判断すべきものであるが,原則として,配偶者,子,父母,孫,祖父母および同居の親族の承諾を得るものとし,これらの代表となるべきものにおいて総意を取りまとめるものとされている.ただし,この範囲以外の親族から異論が出された場合には,慎重に判断することとなっている.なお,死亡した者が未成年であった場合には,特に父母それぞれの意向を慎重かつ丁寧に把握することと定められている.

3.7 児童からの臓器提供

臓器移植法附則第5 では,虐待を受けた児童が死亡した場合に当該児童から臓器が提供されることのないよう,児童について虐待が行われた疑いがあるかどうかを確認し,