p.107 抽出テキスト
(Eisenmenger 症候群)で外科的修復が困難か,心機能低下を伴うもの,3肺低形成を伴う先天性心疾患で外科的修復が困難か,心機能低下を伴うもの,4その他,同適応検討会が認めたものである. 2.1 適応条件と除外条件 適応条件としては,1進行した肺疾患により肺移植の適応が考えられる症例において,外科的修復の難しい先天性心疾患や高度心機能低下を伴い,最大限の内科的治療によってもNYHA 心機能分類III ~IV 度に相当する臨床症状から脱しない場合,2高度心不全を呈し心臓移植の適応が考えられる症例において,薬剤抵抗性の不可逆的肺高血圧(NO の吸入またはプロスタサイクリンの静脈内投与でTPG が15 mmHg 以上,または肺血管抵抗が8 Wood 単位以上)を伴う場合,355 歳以下であること,4本人および家族の心肺移植に対する十分な理解と協力が得られていることがあげられる. Eisenmenger 症候群では,頻回の多量の喀血,薬剤に抵抗性の心室不整脈,心機能不全が認められれば移植を考慮する.わが国では,左室の発育異常または特発性のRCM に高度肺高血圧を伴う例が乳幼児期や10 歳代で散見され,心肺同時移植の適応と判定される例がある. なお,絶対的除外条件として,肝臓,腎臓の不可逆的機能障害,活動性・全身性感染症,薬物依存症,悪性腫瘍,ヒト免疫不全ウイルス(HIV)抗体陽性などがある. 相対的除外条件としては,肝臓,腎臓の可逆的機能障害,活動性消化性潰瘍,合併症を伴ったインスリン依存性糖尿病,高度胸郭変形や胸膜の広範な癒着や瘢痕,高度筋・神経疾患,極端な低栄養または肥満,リハビリテーションが行えない,またはその能力が期待できない症例である.本人および家族の理解と協力が得られない,精神社会生活上の重要な障害なども含まれる. 2.2 ドナーの選定 ドナーとレシピエントの適合やレシピエントの選定,また脳死から臓器摘出に至る過程で肺が傷害されている例が多い.さらに,心肺の保存安全許容時間は単純浸漬保存で心臓と同様に4 時間以内である.こうした厳しい条件が背景にあるため,心肺移植に適したドナーのドナー心は,心臓単独移植の場合の約1/4 程度とされる. 適合条件としては,心臓と肺のドナー適応条件の両方を満たさなければならない.心肺移植希望患者は,心臓移植・肺移植の両方のリストに登録され,それぞれの臓器の選定基準に従い,どちらかの1 位に選定された場合にレシ ピエントとして選定される. 3 手術手技 ドナー手術は胸骨正中切開で心肺に達し,ヘパリンとプロスタグランジン投与後に,上下大静脈を遮断・切開して,血液をドレナージし心臓虚脱後に上行大動脈と肺動脈に挿入したカニューレから灌流液を投与する.心停止後,心肺を一塊として摘出し,冠血管床を保存液で置換後,4°Cの保存水に浸す. 移植手術は,胸骨正中切開下に上行大動脈送血,上下大静脈脱血で体外循環を確立し,心臓を摘出後,左右別々に肺を摘出し,移植グラフトを気管,右房,大動脈の順に吻合する. 先天性心疾患の,大血管転位,大静脈系の走行異常,大動脈縮窄症・離断などの大動脈低形成例では,それに見合ったドナーの血管をドナー心肺とともに摘出する必要がある.また,移植前に体肺動脈シャントやGlenn 手術などの姑息手術歴や,肺に側副血行路がある症例では,術中・術後出血のリスクが高いため注意を要する. 4 移植後管理 免疫抑制薬は心臓移植と同様に3 薬併用療法が基本である.ただし,気管縫合不全を防ぐために術後早期にはステロイドを使用せず,抗胸腺細胞グロブリンを使用する施設が多い. 拒絶反応は心臓と肺で別々に起こるため,適宜,心臓は心筋生検を,肺は各種画像検査と気管支鏡下またはCT カイド下に肺生検を行い病理学的に判定する.気管支肺胞洗浄液の細胞分画も参考にする.肺の拒絶反応は心臓よりも発生しやすく,全体の33% の患者に発生すると報告され,多くは術後4 週以内に起こる. 慢性期には各臓器の移植と同様,CAV や閉塞性細気管支炎が問題となる.これらは遠隔期におけるおもな死因となり,有効な治療法はともに再移植のみである.日常の呼吸機能測定(特に1 秒率検査)や定期的なIVUS が診断に有用である. 近年は,ステロイドを中心とした治療から3 薬併用への進展により,感染症が軽減し,創傷治癒が改善された.し