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p.64 抽出テキスト

断される前に喘息,てんかん,血管迷走神経性失神と診断されているケースがある229).わが国で,I/HPAH患者の約3分の1は学校心臓検診を契機に診断され,それらの多くはWHO肺高血圧症機能分類IまたはIIの比較的症状の軽い患者である.しかし,心電図で右室肥大を認め,PHは高度であり,かならずしも軽症ではない点は注意を要する222, 230).小児I/HPAHは,成人にくらべて肺動脈圧は高いが心係数は良好に保たれる.右房圧は低く,運動耐用能も比較的保たれ,過度な運動に伴って著しい呼吸困難や失神をきたしやすいなどの特徴がある231, 232).

7.2 抽出基準

7.2.1 1次検診抽出基準

問診では,家族歴としてPHや突然死の有無,既往症状として労作時易疲労感,息切れ,胸痛や失神の有無を確認する.

心電図は,本症の早期診断上,感度,特異度ともに十分でないと報告されているが,小児PH患者の90%以上に心電図異常を認め,実際にわが国のI/HPAHの約30%が学校心臓検診を契機に診断されている222, 230).右室高電位(右側胸部誘導V1のQ波ならびに高いR波や,左側胸部誘導V6の深いS波),右側胸部誘導(V1)・下方誘導(aVF)ST低下などの右室肥大性変化(strain pattern)を認める場合,明らかな右房負荷所見(II, III, aVF, V1のいずれかの誘導でP ≧ 0.3 mV)を認める場合には抽出する233, 234).

7.2.2 2次以降の検診で必要な診察・検査項目

2次検診では,聴診,胸部単純X線写真(正面),心エコー図検査を行う.

7.2.3 2次以降の検診で専門医紹介を必要とする所見

2次検診でPHを示唆する以下の所見を認める場合は, PH専門施設に紹介し,診断アルゴリズム(図22)に則って診断を進める214).・聴診: II音の亢進・ 胸部単純X線写真: (肺動脈拡張を示す)左第2弓突出

と,(右房右室拡大を示す)右第2弓と左第4弓突出・ 心エコー図: 心室中隔の平底化,右心系容量負荷と三

尖弁逆流速度の上昇(3.4 m/sec以上)

7.2.4 管理指導区分決定のための取り扱い

学校心臓検診で発見されるI/HPAH例では,WHO肺高血圧症機能分類はI度またはII度が多いが,肺動脈圧は高く,かならずしも早期診断例ではない.早急の診断確定と

治療開始が望ましく,それまでは管理指導区分はBまたはC管理とする.

7.2.5 管理指導区分の条件と観察間隔

専門医療機関にて,右心カテーテル検査による診断確定が必須である.平均肺動脈圧>20 mmHg,肺動脈楔入圧≦15 mmHgと肺血管抵抗係数≧3ウッド単位・m 2を確認する.右心カテーテル検査は,治療選択のためのリスク評価にも必要である(表21) 215).右心カテーテル検査時には,急性肺血管反応試験を行い,反応陽性例にはカルシウム拮抗薬による治療が考慮される(図23) 215).診断確定後はただちに標的治療薬による治療を開始し,リスク評価に応じて,多剤併用療法を検討する(図23) 215).

管理指導区分は,当初BまたはCとして1~2週の観察間隔とし,その後の経過(自覚症状,身体所見と心エコーなどの検査所見)により,1~2ヵ月の観察間隔としてC ~ E禁で管理する215).病態悪化につながる感染症の予防や脱水に対する注意,適切な運動参加の管理指導に加え,思春期の生徒には妊娠のリスクや避妊についてのカウンセリングが必要である(推奨表23) 215).