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p.61 抽出テキスト

6 川崎病の管理

6.1 冠動脈病変の評価

川崎病は原因不明の血管炎であり,冠動脈瘤をはじめとした後遺症を残しうる,小児の後天性心疾患として重要な疾患である204, 205).日本川崎病学会による「川崎病の診断の手引き」は2019年に改訂6版として発表され,冠動脈瘤におけるZスコアによる評価が盛り込まれた206).また,発熱や発疹の診断項目についても改訂がなされ,不全型の定義が記載された.川崎病においては急性期治療の改良によって心臓合併症は減少しているが,近年でも2.5%前後の心臓後遺症を認めている207, 208).安全な学校生活のために,学校心臓検診では病状の確認と経過観察・治療の状況,学校生活における生活管理の確認が重要である.

まず,Zスコアによる評価については,2017年に発表された米国心臓協会(AHA)の川崎病ステートメント(Diagnosis, Treatment, and Long-Term Management of Kawasaki Disease: A Scientific Statement for Health Professionals From the American Heart Association)で,冠動脈評価において冠動脈径のZスコアによる区分が導入されていた209).わが国では長らく日本人の冠動脈径の標準値がなかったため,冠動脈径の絶対値を用いた厚生省基

準で冠動脈瘤が定義されてきた.2016年に日本人の冠動脈径の標準値が報告されると210),わが国でもZスコアによる冠動脈病変(CAL)の評価,管理が可能となり,2020年の日本循環器学会/日本心臓血管外科学会合同ガイドライン「2020年改訂版 川崎病心臓血管後遺症の診断と治療に関するガイドライン」から従来の冠動脈径の絶対値による分類にZスコアによる分類が併記された211).学校管理においては,このZスコアによる冠動脈瘤の重症度を把握することは重要であり,これを表20 211)に示す.近年,このZスコアによる冠動脈瘤の重症度に基づく心血管イベントや退縮などの予後についての報告がなされており212, 213),今後はZスコアによる評価が主流になると思われる.

6.2 管理指導区分と長期経過観察

検診での抽出基準,2次以降の検診で必要な検査項目, 2次以降の検診で専門医紹介を必要とする所見についての変更はないが,管理指導区分については上記のZスコアによる冠動脈瘤の重症度などが反映されたものとして,2020年に発表された日本循環器学会/日本心臓血管外科学会合同ガイドライン「2020年改訂版川崎病心臓血管後遺症の診断と治療に関するガイドライン」における分類に基づき,推奨表22 211)に示す.

なお,冠動脈拡張・瘤の残存群および冠動脈狭窄性病変群においては,抗血小板薬・抗凝固薬などの薬物治療による出血傾向などの副作用についても指導することが重要である.

6.2.1 急性期にCALがないと診断されている児

重症度分類I・II群:急性期に拡大性病変がなかった群(発症後第30病日までの一過性拡張を含む).Zスコア分類(<2.5),実測値3 m未満,または3 mm未満の局所性拡張を呈する症例が該当する. <管理指導>

急性期からCALを認めなかった場合,経過観察期間は5年とされている.したがって,この5年間は管理指導区分はE可,その後は管理不要でよい.

経過観察終了時は,学校生活管理指導表あるいは急性期カードに管理不要であることを記載する.

6.2.2 退縮群(Regression群)

重症度分類III群 : 発症第30病日においても拡大以上の瘤形成を残した症例で,その後,経過観察中に両側冠動脈所見が完全に正常化し,かつ,狭窄性病変が存在しない

推奨表21 フォンタン循環における学校生活管理の推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

フォンタン循環患者では専門施設および小児循環器専門医による定期管理を受けているか確認を行う. I C良好なフォンタン循環維持のため,生活習慣病予防に努めるよう指導を行う. I C血行動態,合併症/ 続発症の有無も含めて運動耐容能をそれぞれ評価して適切な運動強度を設定,安易な運動制限は避けることを考慮する. IIa C不整脈を有する場合には発作による血行動態の急激な悪化の恐れがあるため,十分な監視体制のもとでの活動を行うことを考慮する. IIa Cペースメーカ植込み手術や抗血小板/ 抗凝固療法が行われている場合にはコンタクトスポーツは控えることを考慮する. IIa C