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p.58 抽出テキスト

rsR’パターンではない不完全右脚ブロックが認められる.検出率を高めるためには,右脚ブロック+右軸偏位,右脚ブロック+II誘導のcrochetage patternなどの組み合わせでも積極的に抽出することを検討する必要がある(推奨表19).

2次検診では,抽出された対象者に心臓超音波検査を積極的に施行し,ASDの見落としを避けるように努める.近年では,一次検診から心臓超音波検査を導入している自治体もみられるようになっている.ASDを疑って心臓超音波検査を施行したものの,「欠損孔が確認できない,それでも右心系の容量負荷が確実にある」といった症例では, unroofed coronary sinusなどの特殊なASD,または部分肺静脈還流異常症の可能性を考えて小児循環器専門医に紹介する.

4.1.4 学校生活指導管理

a. 未治療の症例

就学時点で径が5 mm未満の小欠損は通常は治療適応となることはなく,経過観察も不要であることが多い(管理不要).一方,5 mmを超える欠損孔の場合は,成長に伴っ

て欠損孔が拡大,または肺血管抵抗の低下や心室コンプライアンスの変化により短絡量が増加して右心負荷が顕在化する可能性がある.運動制限は不要(管理指導区分: E可)であるが,成人まで1~3年ごとの経過観察を続けることが望ましい.

径5 mm以上の欠損孔で右心系の拡大を伴う症例では,数年以内の適切な時期に治療を検討する.手術待機中でも肺高血圧症がないのであれば強い運動制限は不要であるが,心不全症状の有無によって激しい部活動は控える必要があるかもしれない(管理指導区分: E可/禁) (推奨表20). b. 治療後の症例

適切な時期に治療が施行され,肺高血圧症および不整脈を認めない症例では,長期的には運動制限は不要である(管理指導区分: E可)が,遠隔期の続発症として不整脈や心不全,弁膜症(とくに僧帽弁閉鎖不全)の可能性が否定できないため,成人期まで1~3年ごとの経過観察が望ましい190).また,カテーテル手術では留意すべき特有のリスクが存在する.デバイス留置後は血栓予防のため内膜化が完成するまで6ヵ月間の抗血小板薬もしくは必要に応じて適切な抗凝固薬を服用する.デバイスの脱落や心浸食(デバイス辺縁が機械的に穿孔を引き起こす)は,手術直後だけでなく遠隔期にも生じることが明らかとなってきている.デバイス留置後は抗血小板/抗凝固薬との兼ね合いもあり, 6ヵ月間は他人と接触する競技(コンタクトスポーツ)の禁止,また遠隔期においても心浸食の可能性を秘めた症例では少なくとも成人までの1年ごとの経過観察が必要である(管理指導区分: E可) (推奨表20).

推奨表19  心房中隔欠損症を疑い,抽出すべき心電図所見

の推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

V1 誘導におけるrsR′パターンの不完全右脚ブロックIIa C胸部誘導におけるV4 誘導の陰性T 波もしくはT 波非連続性(孤立性陰性T 波含む) IIa C上記を補強する所見として,高度の軸偏位,II 誘導のcrochetage patten を考慮する. IIb C

推奨表20 心房中隔欠損症の管理指導区分の条件と観察間隔に関する推奨とエビデンスレベル

管理指導区分観察間隔推奨クラスエビデンス

レベル

未治療径5mm を超える欠損孔で右心系の拡大を伴わない,かつ無症候. E 可1~3 年IIa C

径5mm を超える欠損孔で右心系の拡大を伴う. E 可またはE 禁3~6ヵ月IIa C

手術後適切な時期に治療が施行され,続発症がない. E 可成人期まで1~3 年IIa C

デバイス留置例で術後6ヵ月以内E 可,ただしコンタクトスポーツ禁1~3ヵ月IIa Cデバイス留置例で心浸食の可能性がある. E 可1 年(必要であれば成人以降も) IIa C