p.53 抽出テキスト
3.3.6 管理指導区分の条件と観察間隔 管理指導区分の条件と観察間隔は以下のとおりである. (1) 無症状: D(観察間隔: 1~3ヵ月),有症状: C(観察 間隔: 1ヵ月) (2) 原則として競争的運動や学校の運動部は禁止(3) 本症の患児は定期的(1~3ヵ月ごと)にリスク評価 の検査を繰り返すべきである. 3.4 心筋緻密化障害168-171) 3.4.1 概念 心筋緻密化障害は,心室壁の過剰な網目状の肉柱形成と深い間隙を形態的特徴とし,心内膜側に非緻密化層,心外膜側に緻密化層の2層構造を有する. 典型例は,新生児期,乳児期発症で心不全により死亡するため,心移植の対象疾患である一方,学童期~思春期では心電図検診で無症状のうちに発見され,年長児や成人例も多数報告される.弧発性と家族性の双方がみられる.約3割に家族歴が認められ,X連鎖性のほか,常染色体顕性(優性)遺伝形式,常染色体潜性(劣性)遺伝形式,あるいはミトコンドリア病関連遺伝子の病的バリアントが検出され,遺伝的多様性が特徴である. 臨床症候は,心不全,塞栓症,致死性の不整脈を合併する場合があるが,表現型により以下のように分類される. 1. 孤発型左室緻密化障害: 正常の心機能を有するもの. 2 不整脈を伴う心筋緻密化障害: 正常の心機能を有す るが不整脈を伴うもの. 3 拡張型心筋緻密化障害: 拡張型心筋症のように,左 室の拡張と収縮能の低下を伴うもの. 4 肥大型心筋緻密化障害: 肥大型心筋症のように,左 室の肥厚と拡張能障害を伴うもの. 5 拘束型心筋緻密化障害: 左房または両房の拡大と左 室の拡張能障害を伴うもの. 6. 先天性心疾患を伴う心筋緻密化障害: 心房中隔欠損, 心室中隔欠損やエプスタイン病などを合併することが報告されている. 7 両心室心筋緻密化障害: 左室に加えて右室にも心筋 緻密化障害を伴うもの.なお,拘束型や拡張型のサブタイプは予後不良である.学童期では不整脈を伴うものや孤発型のものが多く,孤発型は予後がよい. 3.4.2 1次検診で留意すべき項目 1次検診で留意すべき項目は以下のとおりである. (1) 乳児期では著しい左室肥大,年長児ではST-T変化 など非特異的な変化(2) 不整脈の合併が高率で,WPW症候群の合併が比較 的多い. 3.4.3 2次以降の検診で必要な診察・検査項目 2次以降の検診では,問診,聴診,12誘導心電図,心エコーを行う. 3.4.4 2次以降の検診で専門医紹介を必要とする所見 以下に該当する場合は専門医に紹介する. (1) 心エコー: 著明な肉柱形成と深く切れ込んだ間隙の 特徴的な形態が心室壁の1区域以上に広がり,心室壁肉柱層(NC)と緻密層(C)の拡張末期での比(NC/ C比)が2以上(2) 心臓MRI: 肉柱形成の広がりやガドリニウム遅延造 影(LGE)における信号強度の増強像 3.4.5 管理指導区分決定のための取扱い 管理指導区分の決定においては以下に留意する. (1) 心エコーでの心機能低下例は予後不良である. (2) 初診時の心機能と心不全の有無が予後規定因子であ る. (3) 心機能低下例では,5年で約半数が死亡あるいは心 移植になる. (4) 心臓MRIにおいて遅延造影像が認められる症例で は予後不良であることが多い. 3.4.6 管理指導区分の条件と観察間隔 管理指導区分の条件と観察間隔は以下のとおりである. (1) 学校心臓検診で無症状のうちに発見された例でも, 突然死や,成人期に心不全や不整脈で発症する可能性もあり,年余にわたる経過観察が必要(2) 無症状で心機能正常例ではE禁または可(観察間隔 1~3年). (3) 心機能低下例では,無症状: D(観察間隔: 3ヵ月), 有症状: C(観察間隔: 1ヵ月)心筋症の「診断」および「管理指導区分の条件と観察間隔」に関する推奨とエビデンスレベルを推奨表15,16にそれぞれまとめた.