p.52 抽出テキスト
3.2.2 1次検診で留意すべき項目 1次検診で留意すべき項目を以下に示す. (1) 左室肥大所見:左脚ブロック,QRS幅の拡大,ST 低下,平坦T波(2) 病初期は,非特異的なST-T異常(3) 僧帽P波や肺性P波(4) 種々の不整脈(5) 拡張型心筋症の家族歴 3.2.3 2次以降の検診で必要な診察・検査項目 2次以降の検診では,問診,聴診,12誘導心電図,心エコーを行う. 3.2.4 2次以降の検診で専門医紹介を必要とする所見 以下の所見に該当する場合は専門医に紹介する. (1) III音,IV音,奔馬調律,僧帽弁閉鎖不全による心 尖部での逆流音の聴取(2) 心室性や心房性の重篤な不整脈(3) 呼吸困難,動悸,胸部圧迫感,咳嗽,四肢冷感,浮 腫,運動時の易疲労性(4) 決定的所見は心エコーにおける左室腔の拡大,収縮 不全,僧帽弁逆流,心筋の菲薄化(5) 胸部X線での心拡大 3.2.5 管理指導区分決定のための取扱い 拡張型心筋症のリスク評価に必要な検査は,次のとおりである. (1) 詳細な既往歴と家族歴の聴取(2) 12誘導心電図(3) 心エコー(4) ホルター心電図(5) 運動負荷試験(6) 心臓MRI (7) 心臓カテーテル検査 3.2.6 管理指導区分の条件と観察間隔 管理指導区分の条件と観察間隔は以下のとおりである. (1) 無症状: D(観察間隔: 6ヵ月),有症状: C(観察間隔: 1ヵ月) (2) 原則として競争的運動や学校の運動部は禁止3.3 拘束型心筋症163-167) 3.3.1 概念 心室の拡張や肥大はなく,心筋の収縮力も正常であるが,心室のコンプライアンスが低く,拡張不全になっている心筋症である.両心房は著明に拡張して心室の充満障害があり,収縮性心膜炎に酷似した臨床症状が現れる.呼吸困難,浮腫,腹水,肝肥大,静脈圧上昇,肺うっ血が生じる.拘束型心筋症の家族歴が約1割の患者にみられ,遺伝性の場合は一般的に常染色体顕性(優性)遺伝として現れる.5年生存率は68%で,心臓移植回避例も含めると40%となる.学校心臓検診を契機に無症状で診断された患児は有症状患児よりは予後がよいとされている. 3.3.2 1次検診で留意すべき項目 1次検診で留意すべき項目は以下のとおりである. (1) P波の顕著な増高(2) ST低下,および陰性T波 3.3.3 2次以降の検診で必要な診察・検査項目 2次以降の検診では,問診,聴診,12誘導心電図,心エコーを行う. 3.3.4 2次以降の検診で専門医紹介を必要とする所見 以下に該当する場合は専門医に紹介する。(1) 胸部X線: 左房の拡大による二重陰影,軽度~中等 度の心拡大,肺うっ血像(2) 臨床症状: 肺うっ血による咳,易疲労性,労作時呼 吸困難が特徴的(3) 身体所見: III音の聴取,浮腫,肝腫大,腹水などの 心不全所見 3.3.5 管理指導区分決定のための取扱い リスク評価に必要な検査は次のとおりである. (1) 心エコー: 心房の著明な拡大,心室は小さめから正 常な大きさで,心室壁の肥厚がなく,収縮能は保たれている.ドプラ心エコーでは,心室の流入障害が明らかである.収縮性心膜炎との鑑別診断が重要. (2) 詳細な既往歴と家族歴の聴取(3) 心電図,ホルター心電図(4) 胸部X線(5) 心臓MRI