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p.49 抽出テキスト

2.6 不整脈原性右室心筋症(ARVC)/不整 脈原性心筋症(ACM)

2.6.1 概念

不整脈原性右室心筋症(ARVC)/不整脈原性心筋症(ACM)は,右室を主体とした心筋の線維脂肪化を原因とし,右室由来の心室不整脈および右室の拡大を主徴とする疾患である.

平均的なARVC/ACMの発症年齢は30~40歳代で, VT/VFとそれに伴う失神や心肺停止から診断されることが多い.

ARVC/ACMは2010年のTask Force Criteria 139)に基づいて診断されるが,この診断基準は6つの項目で構成され,それぞれの項目に大基準と小基準を設定し,基準を満たす項目数によって,definite(確定),borderline(境界), possible(可能性)の3段階で診断する.わが国では,職場および学校での心臓検診が普及しているため,心電図異常(図19)をきっかけに診断されることもある.

ARVC/ACMのおもな原因は,細胞間接着に寄与するデスモソームをコードする遺伝子の変異である.ARVC/ ACMのおよそ半数に遺伝子異常を認めるが,その原因遺伝子にはわが国と欧米で一部違いがある140).しかしながら,遺伝子異常のみでARVCの発症機転が説明可能ではなく,遺伝子異常と後天的要因が重なって発症すると考えられ,その要因の1 つとして激しい運動が考えられている141, 142).

2.6.2 運動との関係

ARVC/ACMはアスリートに多いことが知られており,運動強度に応じて発症または重症化することが後ろ向き研究で示されている143, 144).また,ARVC/ACMはスポーツ選手の突然死の原因として重要視されている145).

青年期にARVC/ACMと診断された患者は,成人期に診断された患者と比べて持久力が必要なスポーツ競技(マラソンやクロスカントリーなど)の経験者が多かったことが報告されているため146),運動歴の詳細な聴取は非常に重要である.

ARVC/ACMにおけるカテコラミン増加は心室不整脈の誘発に重大な影響を及ぼし,運動は心臓突然死リスクを増加させることから143, 147),競技スポーツや強度の高いレクリエーション活動は高度に制限する必要がある148).一方で, ARVC/ACMに対する運動負荷試験および運動処方に関する報告は少ない149, 150).

2.6.3 1次検診抽出基準

心電図での再分極異常,すなわち右側前胸部誘導(V1 ~V3)あるいはそれを超えた誘導での陰性T波[ただし年齢>14歳でQRS時間120 ms以上の完全右脚ブロック(CRBBB)がない場合]を認めた場合,ARVCを疑う.

ただし,14歳以下については,健常人であってもV1~ V4にT波陰転化がみられることが多々あり,判定基準には該当しない.わが国の報告では,小児(18歳以下)の心

図19 ARVC の心電図所見と画像所見

I

II

III

aVR

aVL

aVF V1

V2

V3

V4

V5

V6

TTE/CT矢印:陰性T波A.心電図所見B.経胸壁心エコー図およびMRIの所見

ARVC(13yo female) MRI

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