p.48 抽出テキスト
蛋白質であるラミンA/C遺伝子(LMNA),ペースメーカチャネル遺伝子(HCN4)などが報告されている108, 136). 臨床像ならびに重症度としては,無症状のものからふらつき,めまい,アダムス・ストークス発作,失神,心停止,突然死に至るものまでと多様である.SCN5A異常を伴うものは,ブルガダ症候群, LQTSなどの臨床所見とオーバーラップすることがある.LMNA異常を伴う患者は,初期に徐脈,房室ブロック,心房頻拍などを呈し,中年期以降に徐脈性不整脈の進行によりペースメーカ治療を必要とし,その後,心機能が低下して拡張型心筋症(ラミン心筋症)に進行するなど,特異的な経過をたどる137, 138). 2.5.2 1次検診抽出基準 洞機能不全,ペースメーカ治療,拡張型心筋症,突然死の家族歴の聴取が重要である.抽出基準は,表7の心電図所見(「VI.房室伝導」,「VII.心室内伝導」,「VIII.調律」)に準じる. 2.5.3 2次以降の検診で必要な診察・検査項目 12誘導心電図,ホルター心電図,運動負荷心電図を行う.ホルター心電図などで最大3秒以上のRR間隔,頻回の洞房ブロック,心房細動/粗動,徐脈頻脈症候群がみられる場合には注意を要する.心機能低下や心筋症を合併することがあるため,心エコーや心臓MRIなどの画像検査を行う. 2.5.4 2次以降の検診で専門医紹介を必要とする所見 家族性徐脈症候群が疑われる場合,とくに失神の既往や運動耐容能低下がある場合や突然死,ペースメーカ植込みの家族歴がある場合は,専門医に紹介する.徐脈,房室ブロック患者で拡張型心筋症の家族歴を有するなどLMNA異常が疑われる場合は,遺伝学的検査が推奨される97). 2.5.5 管理指導区分の条件と観察間隔 家族性徐脈症候群の管理指導区分の条件と観察間隔に関する推奨とエビデンスレベルを推奨表12にまとめた. 推奨表11 ブルガダ症候群の管理指導区分の条件と観察間隔に関する推奨とエビデンスレベル 管理指導区分の条件管理指導区分*観察間隔推奨クラスエビデンス レベル 無症状かつ家族歴がないが専門医によりブルガダ症候群が疑われている場合E 可1 年IIb C無症状だが専門医によりブルガダ症候群と診断されている場合E 禁またはE 可必要に応じてIIb C失神の既往があり専門医によりブルガダ症候群が疑われている,または診断されている場合D,E 禁またはE 可**必要に応じてIIb C *ブルガダ症候群の心イベントは運動時よりも安静時,睡眠時の発生が多いため,適切な医学的管理下,安全管理下であれば運動を一律に制限しない.高体温にならないよう活動内容や活動環境への配慮が望ましい110). **運動時失神の場合は,D禁,非運動時失神の場合はE禁またはE可. 推奨表12 家族性徐脈症候群の管理指導区分の条件と観察間隔に関する推奨とエビデンスレベル 管理指導区分の条件管理指導区分観察間隔推奨クラスエビデンス レベル 無症状で徐脈傾向が軽度で,運動負荷で心室拍数の増加が良好な場合E 可6ヵ月~1 年IIb C無症状でも運動負荷で心室拍数の増加が不良な場合C またはD 禁6ヵ月~1 年IIb C失神発作,めまいや心収縮能低下を伴う場合B またはC 禁1~3ヵ月,または必要に応じてIIa C ペースメーカ植込み後* C,D,E 禁,またはE 可3~6ヵ月IIa B *ペースメーカ植込み後は基礎疾患に関する推奨事項に従う.致死性不整脈の病的基質がない患者については,スポーツ(衝突する種目を除く)参加をしてもよい.