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p.44 抽出テキスト

や家族歴,心臓突然死(とくに若年者)の家族歴について確認することが重要である.

2.2.3 2次以降の検診で必要な診察・検査項目

12誘導心電図,運動負荷心電図,ホルター心電図,心エコー,遺伝学的検査を施行する.とくに,運動負荷心電図は診断上重要であり,トレッドミル検査などを用いて最大心拍数150拍/分以上を目標として行う.

VTやVFが誘発される可能性があるため,かならず除細動の準備をして医師の監視下で行う.運動負荷により心室不整脈が誘発されるのはCPVT症例の7割程度であり115, 116),不整脈陰性でも否定はされない.また,運動負荷心電図の実施が困難な場合は,エピネフリン静注試験を考慮してもよいが,感度は劣る117).心エコーでは器質的心疾患がないことを確認するが,RYR2遺伝子の特定の病的バリアントでは左室心筋緻密化障害の合併が知られている118, 119).二方向性/多形性VTで鑑別が必要な疾患としてAndersen-Tawil症候群(ATS)があるが,ATSは安静時および軽い運動時に観察されるVTが運動により抑制されるのに対して,CPVTでは安静時のVTはまれだが運動または情動刺激によりVTが誘発されるといった違いがある120).

2013年に発表された,米国不整脈学会(HRS)/欧州不整脈学会(EHRA)/アジア太平洋不整脈学会(APHRS)合同ステートメンにおけるCPVTの診断基準は以下のとおりである.

1 器質的心疾患を認めず,心電図が正常な40歳未満の

症例で,運動もしくはカテコラミン投与により,ほかに原因が考えられない二方向性/多形性VT,多形性心室期外収縮が誘発される場合2 CPVTに関連する遺伝子の病的バリアントを認める場

合3 発端者の家族に心疾患を認めないにもかかわらず,運

動により多形性心室期外収縮,二方向性/多形性VTが誘発される場合17). CPVTに対する遺伝学的検査は,2024年時点でわが国では保険適用外ではあるが,CPVTの診断に重要であり, CPVTが疑われた場合には強く推奨される.なお,CPVTはかならずしも家族性でない場合も多く,最近の報告ではCPVTの7割が孤発例であった.一方,家族性CPVTの場合は,発端者と同じ遺伝子異常を有する同胞の発症率は5割以上と高く,仮に無症状であっても発端者にCPVTの原因となる遺伝子バリアントが同定されている場合には,その特定バリアントに対する遺伝学的検査を行うことが推奨される121).

CPVTの2次以降の検診で必要な検査に関する推奨とエビデンスレベルを推奨表4にまとめた.

2.2.4 2次以降の検診で専門医紹介を必要とする所見

運動負荷により心室不整脈,とくに二方向性/多形性VTが誘発された場合は,専門医に紹介する.心室不整脈が誘発されなくても,運動時や精神的緊張時の失神,けいれん,動悸,めまいの既往歴や家族歴,突然死の家族歴(とくに若年者)がある場合は,専門医に紹介する.上記の所見を認め,CPVTと診断されたまたは疑われた場合には,すみやかに適切な治療を開始することが望ましい.

2.2.5 管理指導区分の条件と観察間隔

CPVTの管理指導区分の条件と観察間隔に関する推奨とエビデンスレベルを推奨表5にまとめた.

2.3 QT短縮症候群(SQTS)

2.3.1 概念

QT短縮症候群(SQTS)は2000年にはじめて報告されたきわめてまれな遺伝性不整脈疾患であり,心電図でのQT間隔の短縮を特徴とし(図17),VT/VFによる失神や突然死をきたす.心房細動の合併も多い122).

2.3.2 1次検診抽出基準

SQTSの1次検診抽出基準は推奨表6のとおりである.ただし小児では,成人と比較して補正QT間隔(QTc)が

推奨表4 CPVT の2 次以降の検診で必要な検査に関する推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

CPVT の診断基準を満たす症例を対象として,CPVT の確立された原因遺伝子についての遺伝学的検査

*を行う. I C

CPVT の診断基準を満たさない症例であっても,血縁者(発端者)にCPVT の原因となるバリアントが同定されている場合,その特定のバリアントに対する遺伝学的検査を行う

*. I C

CPVT の診断のために,VT/VF へ備えた経験をもつ施設にて運動負荷(できるだけトレッドミル)を行う. I C CPVT の診断のための運動負荷試験が不可能な場合に,エピネフリン静注試験を考慮してもよい. IIb C *2024年10月時点で日本において遺伝学的検査は保険未収載である.