p.43 抽出テキスト
生率(/1000人・年)は,それぞれ5.6,7.4,7.8 で,競技スポーツ参加の非劣性は示されなかった.また,不整脈イベントを起こした者は怠薬,安静時QT延長が著明,不整脈イベント既往など既知のリスク因子があった104).心事故リスクは年齢(思春期前と後),性別,遺伝型によっても異なり105),LQT2の女性は思春期以降に心事故リスクが高くなる106, 107).運動時のQTc延長の程度は,運動時の心事故リスクとの関連が明確には示されてはないが,管理指導区分を決定するうえで考慮する. 先天性LQTS患者においては適切な医療や予防措置を行い,心事故が起きた際の対応を確認し(推奨表3),遺伝型に基づいた治療を行う108, 109).その際,心事故の予防措置として,QTを延長させる薬(マクロライド系抗菌薬やADHDの治療薬など)は避け(表15),脱水や電解質異常(とくに低カリウム血症,低マグネシウム血症)の予防と是正を図る.学校との連携はきわめて重要で,AEDは使用 できる場所にすみやかに配置し,心事故時にAEDの使用を含めた心肺蘇生を行うことを周知する.また,運動には関連しないが学校で注意が必要な心事故の誘因(LQT2型における突然の警告音など)は学校関係者に周知させる.競技スポーツを行う場合は,競技による心事故リスクやAEDの準備も含め,患者とその家族,競技指導者などと十分な協議をして参加の可否を決め,予防措置やより安全な環境を整える110).競技スポーツは精神的ストレスも加わるが,とくに団体スポーツで大きい103). 2.2 カテコラミン誘発多形性心室頻拍 (CPVT) 2.2.1 概念 運動や精神的緊張により二方向性/多形性VT(図16)やVFを発症し,失神,けいれん,心停止や突然死を呈する遺伝性不整脈疾患である.7~12歳で発症し,無治療の場合30%が心停止を,80%が失神を経験する,きわめて予後不良な疾患である111).臨床的に診断されるCPVT患者の60~70%で原因遺伝子,とくにRYR2遺伝子の病的バリアントが同定される112, 113).安静時心電図は基本的に正常なため,失神の既往があっても血管迷走神経反射,てんかんと診断されることや114),発症年齢や失神の契機が類似しているLQTSと診断されていることもある115).CPVTの可能性がある場合には,詳細な既往歴や家族歴の聴取,運動負荷心電図,遺伝学的検査の実施が重要である. 2.2.2 1次検診抽出基準 安静時心電図では洞性徐脈や心房細動を一部の症例に認めるが,基本的に異常所見はない.1次検診では運動時や精神的緊張時の失神,けいれん,動悸,めまいの既往歴 1sec 図16 CPVT 患者に認めたニ方向性心室頻拍 推奨表3 先天性LQTS の心事故の予防措置に関する推奨とエビデンスレベル 推奨クラスエビデンス レベル 先天性LQTS の患者ではQT を延長させる薬(Ia 群,III 群抗不整脈薬,マクロライド系抗菌薬や注意欠如・多動症の治療薬など)は避け,脱水や電解質異常(とくに低カリウム血症,低マグネシウム血症),徐脈の予防と是正を図る. I C先天性LQTS に対して投薬を受けている患者では,怠薬すると症状が出現しやすくなることを十分説明し,怠薬の有無のチェックを行う. I C先天性LQTS の患者が日常生活を送る場所では,AED をすみやかに使用できるように配置し,心事故時にはAED の使用を含めた心肺蘇生を行うことを周知する(とくに有症状など高リスクではあるがICD植込みがされていない患者). I C