p.41 抽出テキスト
時や運動開始時に心室期外収縮(二方向性)を認める(図14).なお,ATSの身体的特徴としては低身長があげられ,小顎症や短指症などの合併や周期性四肢麻痺の有無に注意する. T波交互現象(T wave alternans)は,1心拍ごとにT波が変化する現象であり,高リスクを示唆する所見である(図15).運動負荷心電図は,安静時にQT延長が軽微な症例のQT延長を顕在化するのに有効である94, 95).運動負荷ではトレッドミルなどを用いて心拍を十分に上昇させる(心拍数 ≧ 150/分が目安).また,運動負荷の困難な症例や遺伝子型の推定を要する症例などでは,アドレナリン負荷試験が有用である96).ただし,安静時心電図でLQTSと診断確定される症例に負荷検査は必須でなく,とくに有症状者は心事故のリスクがあるため,専門医のもとで行うべきである(推奨表1).ホルター心電図は運動負荷試験が困難な症例では心拍上昇時の心電図を評価するために有用で,さらに睡眠中や早朝にQT延長が顕在化しやすいLQT2,3型にはとくに有用である. 先天性LQTSでは遺伝型により管理方針が異なるため,遺伝学的検査の結果は診断のみならず投薬や生活指導にも有用である.先天性LQTSに対する遺伝学的検査は保険適用になっており,循環器内科医が臨床経過/家族歴/心電図などから強く先天性LQTSを疑う症例には,遺伝学的検査を行う97).ただし,遺伝学的検査の結果の解釈には臨床遺伝に関する十分な知識が必要であり,専門医のもとで行うのが望ましい. 2.1.4 2次以降の検診で専門医紹介を必要とする所見 2次検診においてLQTSを疑うまたはLQTSと診断された場合は,専門医への紹介を行う. なお,先天性LQTSの診断はSchwartz scoreで3.5点以上(疑いは1.5~3点) (表16) 98),あるいは12誘導心電図 におけるBazett補正でQTc ≧ 0.50秒であったとき,さらにLQTS遺伝子に明らかな病的バリアントが存在する場合99)も診断する(推奨表1). 2.1.5 管理指導区分の条件と観察間隔 管理指導区分の決定は,現時点でのエビデンスなどをもとに,家族歴,症状,心電図所見などの臨床情報,原因遺伝子の病的バリアントの種類を考慮して行う(推奨表2).運動参加に伴う心事故のリスクはおもに成人を対象として海外から報告されているが,専門医による評価と適切な医療を受けて管理された先天性LQTS患者のリスクは低いことが示されている100, 101).しかし,運動の許容範囲は,欧州と北米のガイドラインで異なっている102, 103).小児のエビデンスは限られているが,近年,北米中心のグループから先天性LQTS患者の競技スポーツ参加に関する前向き研究が発表された.そのなかに14~22歳の対象者が320人含まれており,専門機関で管理され,ほとんどはβ遮断薬を内服していた.彼らを,競技スポーツ継続者,非競技だが強度のスポーツ継続者,中等度以下のスポーツ継続者の3群に分けて3年間経過観察したころ,不整脈イベントの発 図15 T 波交互現象(T wave alternans) 1心拍ごとにT波が変化している. I II III aVR aVL aVF V1 V2 V3 V4 V5 V6