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p.34 抽出テキスト

教育委員会と連携して実施する体制がとられるようになった.1994年12月には「学校保健安全法施行規則」が一部改正され,1995年からは小学校1年,中学校1年,高校1年の時点で全員に心電図検査が義務づけられた.しかし,県レベルの情報共有,検討会の開催には課題が残るとされている.したがって,現在の「脳卒中・循環器病対策基本計画」とそれに関連した県のレセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)など大規模医療データベースとの連携については,今後の課題とされる.さらに,県ないし国レベルでの保健指標として構造指標(12誘導心電図検査の実施など),過程指標(要精査率,要管理率,未受診率,検討会実施数),成果指標(OHCA数,蘇生成績,最終診断,学校生活管理指導区分)などの行政でのPDCA(plando-check-action)サイクルの有効運用,国レベルの研究事業の進展も同様に課題と考えられる.

6.2.2 医療DXにおける学校心臓検診DXの将来像

以上の問題点と課題を踏まえて,2024年11月に学校心臓検診のデジタル化に関する提言が関連6学会から発表された.そのなかで学校心臓検診におけるDXのめざす将来像として,1検診現場などの業務の効率化,2地域の学校心臓検診の質の標準化,3人工知能を含むICTの導入, 4地域の保健行政への反映,5病診連携,学校と病院の連携,6災害時対応,7ビッグデータの二次利用によるヘルスケアへの利活用,8個人一元管理による生涯保健事業(PHR化)などがあげられる50).教育現場でのDX化としては,2019年に始まった,全国の児童生徒一人ひとりに電子端末とWi-Fiネットワークを整備するGIGA(Global and Innovation Gateway for All)スクール構想のもとで,統合型校務支援システムが稼働している59).そのシステムにおいては,教務,指導要領以外に保健(健康診断票,保健室管理業務)も含まれており,効率化が進行しつつある.学校心臓検診領域の実質的なDX化が期待される(表13 58)).

これまでの学校心臓検診の現場のニーズと時代の要請

6.2 課題と方策

6.2.1 学校心臓検診の成果と最近の基本法のなかでの課題

学校心臓検診の根拠法となる学校保健安全法(第1条)に,「学校における児童生徒等及び職員の健康の保持増進を図るため,学校における保健管理に関し必要な事項を定めるとともに,学校における教育活動が安全な環境において実施され,児童生徒等の安全の確保が図られるよう,学校における安全管理に関し必要な事項を定め,もって学校教育の円滑な実施とその成果の確保に資することを目的とする」との記載があるように,学校心臓検診は学校管理下の児童生徒の安全の確保が目的とされる.

一方,学校管理下の突然死の原疾患以外(心房中隔欠損症など)を含む小児期発症心疾患の早期発見と成人への移行期医療,小児生活習慣病予防など,学校管理下の安全以外の項目も重要な医療現場の課題である.また,小児生活習慣病検診は,現時点で義務化はされていない.学校保健安全法の第8条4項では「児童生徒等の健康診断票は,五年間保存しなければならない」とされているが,5年を超えた時点で廃棄される地域がある一方で,生涯医療保健・移行期医療の点から長期の保存を望む意見も多い.学校管理下の運動管理に関しては,疾患の長期予後の観点から,今後は心臓リハビリテーションの視点からの検討も重要である.

1973年の「学校保健安全法施行規則」の改正により,学校心臓検診の実施が義務づけられた.これにより公立学校の学校心臓検診は,学校の設置者である市町村の教育委員会が地区医師会や検診業者などに委託して,あるいは県

表12 医療DX 時代の学校心臓検診の課題

• 業務効率(事務職員,養護教員,検査業者,医療者)作業効率(転記・搬送),働き方改革,AI判読・PHR化の壁• 心電図判読の標準化,均てん化精度管理,判読の地域差,遠隔地の判読者の確保• 検診情報の自治体レベルの総括への反映結果の報告書作成の労務• 検診情報管理問診・心電図の個人情報管理,災害時の危機管理の問題• 将来のPHR化による情報の共有学校と病院,病診連携,進学,転居,個人の一元管理の壁• 学校心臓検診情報の保健施策への還元大規模データの解析への壁• 新規情報通信技術の導入学校心臓検診関連のプログラム医療機器導入の壁AI: artificial intelligence (日本小児循環器学会, 日本循環器学会. 2024 58)より改変)

表13 学校心臓検診DX の将来像

• クラウド管理,オンライン判読による業務効率化,費用削減,事業継続性• 遠隔判読による地域の検診の標準化• 地域の保健行政への反映,精度管理によるシステム改善• AI判読など情報通信技術の導入• 病診連携,学校と病院の連携• 災害時対応• ビッグデータを用いた社会医学研究• 個人一元管理による生涯保健事業AI: artificial intelligence (日本小児循環器学会, 日本循環器学会.  2024 58)より改変)