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p.31 抽出テキスト

査をどの医療機関で行うことになっているか」という質問に対しては,「保護者に任せている」という回答が48%ともっとも多かった.

また,判定業務を行う心臓検診判定委員会については,市区町村教育委員会では57%が把握しておらず,30%は開催されていなかった.学校生活管理指導表の利用率にも地域差があり,心疾患の児童生徒については88%の学校で使用されていた一方,使用していないと答えた学校も11%みられた.

5.2 2020年に実施の学校心臓検診委員会の 調査

2019年12月に日本小児循環器学会の学校心臓検診委員会において学校心臓検診のシステム見直しや将来の方向性を審議した結果,委員の所属する地域によって検診方法がまちまちで,詳細な実態も把握できていないことが明らかになった.そこで,委員の所属する地域(11都道府県)において2019年度の学校心臓検診についてアンケート調査を行った36).生徒数,1次検診/精密検査担当医師は誰か,12誘導心電図の使用率,心音図の有無,心臓病調査票利用の有無,心電図フィルターの使用,精度管理法,抽出率,受診率などについて検診担当医師を対象に調査を行った.調査地域は東京都の19区,4政令指定都市を含む59市,51町村で,各都道府県において状況を把握できた市町村の割合には2~100%とばらつきがあった.複数の市町村がまとまって検診を行っている地域もあり,小中学校では39件のアンケート結果が得られた.そのうち2/3では,1次検診のあとに精密検査が行われていたが,残り1/3では1次判読ののち2次検診を経てから精密検査が行われていた.

機械判読が正常のものを含むすべての心電図について目視によるオーバーリードを行っているのは56%で,残りは問診票や機械判読で異常とされたもののみにオーバーリー

ドが行われていた.12誘導心電図の使用率は全体79%と,前出の文部科学省・日本学校保健会による全国調査の結果(約40%)より高かった.1次検診での異常の抽出率には地域により大きなばらつきがみられ,たとえば北海道では小学校1年生が0~9.5%,中学校1年生が0.1~12.5%と,道内でも自治体により大きく異なっていた(図10) 41). 1次検診に小児循環器内科医が関わっている割合は85%であったが,これは本アンケート調査が学校心臓検診委員の所属する地区を対象にしたものであるためと考えられた.北海道内では小児循環器専門医の協力により把握できた自治体は全体の1/3にとどまり,小児循環器内科医が学校心臓検診に関わっていない地域が相当数存在することがうかがわれた.

今回のアンケート調査は小児循環器内科医が関与する地域で回答が得られたものであるため全体像を示してはいないが,学校心臓検診は各地域でさまざまな方法で実施されており,統一されたシステムで行われていないことは明らかであった.学校心臓検診の担う重要な役割である心臓突然死の予防・心疾患の早期発見の質の向上のためには,全国レベルでの現状把握と精度管理の必要があると考えられた.

5.3 わが国における学校心臓検診の費用対 効果

Tanaka らは,Fullerらのスクリーニングの方法37)と鹿児島市のスクリーニング方法の費用対効果を検討した38).鹿児島市での費用対効果を例にあげると,1年間の生存を得るための費用は$8,800となり,米国での試算($44,000~ 200,000) 37)よりはるかによく,日米の検査費用の差による影響も大きいものの,日本の学校心臓検診は費用対効果からみるとすばらしいシステムと考えられた.

日本の小中高生のほとんどが加入している災害共済給付制度から得られる全児童生徒の心疾患・大血管疾患による心臓突然死発生率を図11 42,43)に示す.心臓突然死発生率は心電図を用いた学校心臓検診が法律で制度化された1995年から5年ほど経過した2000年ごろより減少傾向が進み,学校心臓検診による学校での心臓突然死予防への貢献の可能性が考えられた39).さらに,2005年にAEDの一般市民による使用が認められたことも,死亡率の減少に大きく貢献していると思われる.ここ10年ほどは減少率が緩やかになってきているが,これは現状で救命しうる学童をほぼ救命できるようになったことを意味しているのかもしれない.今後さらに学校における心臓突然死を減らすためには,デジタルトランスフォーメーション(DX)化を含

図9 1 次検診における12 誘導心電図の施行割合と要精密検査・要管理の関連(2016 年版ガイドライン 図10)

小1中1高1

要管理10 8

6

4

2

0

(%) 12 誘導心電図3 割未満の都道府県12 誘導心電図7 割以上の都道府県

要精密検査の割合