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緒言 フォーカスアップデートにあたって 「不整脈薬物治療に関するガイドライン」は,2004 年の初版発行以降,2009 年の改訂1)の後に2013 年の「心房細動治療(薬物)ガイドライン(2013 年改訂版)」2)を挟み, 2020 年に全面改訂が行われ,「2020 年改訂版不整脈薬物治療ガイドライン」3)として発行された. 前回の改訂から数年の経過であるが,その間に不整脈治療に関連する薬剤が臨床で使用可能となり,また従来の薬剤についても効能効果が見直されるエビデンスが報告された.特に,心房細動治療においては,脳梗塞や全身性塞栓症の予防のための抗凝固療法が広く普及し,中和薬を含めたさまざまなエビデンスが国内外より蓄積されてきている. また,高齢化社会を迎えた本邦では,単一の不整脈疾患として薬剤を処方するのではなく,フレイルや認知機能といった多様な患者背景を十分に勘案し,治療にあたることが求められる時代となってきている.薬物治療のみならず,さまざまな修飾可能な危険因子を同定し,介入を行う包括管理の重要性が世界的にも認識されるようになり,心筋イオンチャネルを標的とした薬物治療からはじまった不整脈治療から,新しい概念でのステージに移行したともいえる. 不整脈の非薬物治療については,2000 年の「不整脈の非薬物治療ガイドライン」発行以来,2006 年と2011 年4)にカテーテルアブレーション,ペースメーカや植込み型除細動器治療,不整脈外科手術に関するガイドラインとして改訂された.その後も,医療工学技術のめざましい進歩や治療手技・手術方式の確立から,心房細動カテーテルアブレーション手技が一般化されるとともに,不整脈の非薬物治療は多様化し,心室同期療法を含む植込み型心臓電気デバイス治療,カテーテルアブレーション,不整脈外科治療,左心耳閉鎖術などについて統合した「不整脈非薬物治療ガイドライン(2018 年改訂版)」5)が発行された.さらに「2021年JCS/JHRS ガイドラインフォーカスアップデート版不整脈非薬物治療」6)として一部改訂された. このように,最近では不整脈の非薬物治療が驚異的な速さで発展し,患者治療に活かされる時代となっている.年間65,000 人にも上るとされる心臓突然死7, 8)に加えて, 2025 年問題といわれる心不全パンデミックを迎えつつある 本邦では,カテーテルアブレーション・植込み型心臓電気デバイス治療などの非薬物治療の役割はきわめて重要であり,今後の需要はますます増大していくものと予想される. 不整脈治療については,従来から薬物治療と非薬物治療に大別され,それぞれのガイドラインが作成されてきた.しかし,両者は互いに排他的な治療法ではない.実臨床では両者を併用したハイブリッド治療が多く行われており,エビデンスの構築においても両者を含めた臨床試験が多く行われている.今回は,不整脈に対する治療内容の整合性・統一性を重視し,また不整脈診療に携わる臨床実地の医師にとって利便性を高めることを目的とし,「不整脈薬物治療」と「不整脈非薬物治療」を統一した「2024 年JCS/ JHRS ガイドラインフォーカスアップデート版不整脈治療(以降,本フォーカスアップデートと記す)」として作成した. 推奨クラスとエビデンスレベル 本フォーカスアップデートでは,推奨クラスとエビデンスレベルについて,表1 および表2 の通り分類した.欧米諸国の不整脈に関するガイドラインとの整合性も考慮し,推奨クラスの文言も統一した.なお,不整脈治療は古くから用いられている治療も多く含まれており,ランダム化比較試験(RCT)などのエビデンスが不十分で,統一した文献検索式によるシステマティックレビューが難しい領域である.そのため,「Minds 診療ガイドライン作成の手引き」に準拠したMinds 推奨グレードおよびMinds エビデンスレベル分類については割愛した. Clinical Question(CQ) 日本循環器学会ガイドラインでは,臨床上の質問(clinical question: CQ)を設定し,GRADE システムを用いてシステマティックレビューを行い,推奨度を明示する形式を導入している.今回はフォーカスアップデートであるため,ガイドライン執筆作成委員と独立したシステマティックレビュー班は設けず,日常診療で問題となる2 つのCQ を設定し作成した.また,治療方針を決める際に参考となるようなテーマを2 つ設け,臨床的疑問に応えるかたちで