GL検索 v0.1.0
画像は 63 ページを描画したものです
page 63

p.63 抽出テキスト

心房細動はすべてカテーテルアブレーションで治るのですか?

心房細動は,発症してからの進行状態によって治りやすさが異なります.早期段階(発作性心房細動)では原因が一部の領域(肺静脈領域)に限局していることが多いため,カテーテルアブレーションの基本手技である肺静脈隔離術を行うことで,多くの(8 ~9 割)患者さんが心房細動から解放されます.

しかし,持続性心房細動や慢性心房細動(心房細動で固定した場合)へと進行すると,心房筋の障害が進むために治りにくくなり,肺静脈隔離術による治癒率は低下してしまいます(持続性:6 ~7 割程度,慢性:3 ~5 割程度).

低い治療成績を補うために,心房筋に対する追加治療もいろいろな方法が考案されていますが,心房細動の原因を根絶することはできません.複数回の治療を行って効果を高めることもしばしば必要となり,2 ~3 回と治療を重ねてもなかなか十分な効果が得られない場合もあります.また,いったん治ったようにみえても,しばらくしてから(数ヵ月~数年後に)再発することもまれではありません.そのために「カテーテルアブレーションで心房細動が治った」という表現は(厳密にいうと)適切ではなく,治療して抑えることができたという表現が適当ともいわれています.動悸などの症状がよくなったとしても安心せず,定期的な受診や健康診断での心電図検査を受けることが大切です.

このように,すべての心房細動患者さんがカテーテルアブレーションで治るわけではないこと,そして心房細動の早期段階でカテーテルアブレーションを行うほうが治りやすく,進行するにしたがって治りにくくなることが重要なポイントです.また,心房細動の発生や進行と手術後の再発は,高血圧・糖尿病などの生活習慣病の管理に加え,体重コントロール(肥満の防止)・節酒・禁煙といった生活管理によって軽減できることが知られています.全身疾患の1つという認識が重要です.

心房細動に対する抗凝固薬はいつまで飲み続けるのですか?

抗凝固薬を服用することにより,心房細動から脳梗塞が起こる確率は3 分の1 に低下します.最たる危険因子である75 歳以上,高血圧,糖尿病,心不全,脳梗塞の既往に該当する方だけでなく,他の危険因子を有する場合も,開始した抗凝固薬を飲み続けることで脳梗塞の予防につながります.現在心房細動が出ていない場合や,症状がなかったとしても,抗凝固薬は原則必要になります.

カテーテルアブレーションにより心房細動がなくなると,脳梗塞が起こる確率が低い方にかぎり抗凝固薬を終了することが可能です.ただし,前述した危険因子が2 つ以上ある,または脳梗塞の既往がある方は,カテーテルアブレーション後も再発する可能性などに備え,抗凝固薬の服用を継続することが望ましいです.

一方,年齢を重ねるにつれて,抗凝固薬を服用することにより出血しやすくなります.たとえば重大な出血が起きた際は,抗凝固薬を一時休止する必要があります.その後抗凝固薬を再開する際は,今の状態に合った抗凝固薬をかかりつけ医と相談して下さい.抗凝固薬は継続が困難な状況になるまで,服用を続けることが脳梗塞予防のために大切になります.

脳梗塞の危険因子は年月の経過とともに積み重なってくることが多いため,抗凝固薬服用を継続すること,そして,高血圧,糖尿病などの生活習慣病を管理することで,より脳梗塞の予防が期待できます.

Q4

Q5