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いて,アンデキサネット アルファ投与自体が過凝固,塞栓症を引き起こすリスクを有しているのか否かは定かではない422).FXa 阻害薬内服下の頭蓋内出血に対してアンデキサネット アルファと従来治療を比較するRCT(ANNEXA-1)の最終結果により明らかになるであろう. 大出血に対する救急処置に従事する可能性がある医師は,それぞれの抗凝固薬に対する中和薬の保管場所,投与場所までの最短搬入経路を事前に確認しておく必要がある.そして投与法をシミュレーションして,いざ中和薬が必要になった際に迅速に正確な対応ができるように備えたい. また,FXa 阻害薬投与下での大出血発生の際,アンデキサネット アルファが容易に入手できない施設もあると予測される.その場合,2024 年2 月現在保険適用外ではあるが,プロトロンビン複合体製剤の使用が検討される.プロトロンビン複合体製剤は前述のDOAC 内服下で重大な出血発現時のメタ解析において,止血達成80.1%,死亡率17.4%,塞栓症発症率4.3% と,特異的な中和薬と比較しても許容できる成績であった.本研究では良好な止血を得られなかった場合の死亡リスクは,3.63 倍に上昇することが示されている420). ワルファリンと比較してDOAC 使用率が多くなっている本邦では,今後DOAC 服用患者における大出血の増加が見込まれる.抗凝固薬内服患者に生命を脅かす出血または止血困難な出血が発現した際は,どの抗凝固薬をいつ最終 内服したかをできるかぎり正確に情報収集して,適切な中和薬を使用する.その後安定期に入った際は続発する塞栓症予防のために抗凝固療法を適宜再開することを念頭に置くことが肝要である. 4 ジギタリス製剤と心房細動 ジギタリス製剤は古くから,心房細動の心拍数調節薬として用いられてきた.1993 ~2014 年に発表された19 試験のメタ解析では423),ジギタリス製剤の使用は死亡率の増加と関連し,とくに心不全をともなわない心房細動で関連性が高いと報告した.そのため,近年のガイドラインでは,心機能が温存された心房細動患者でのジギタリス製剤の使用は推奨されていない. 心機能低下をともなう心房細動の心拍数調節においては,ジギタリス製剤が有する強心作用で心機能の改善が期待できることから,臨床で使用されることが多い.しかしながら,これまでの臨床研究では,ジギタリス製剤の長期使用は死亡率を増加させることが報告されている424-426). 2020 年に発表されたAF-CHF の追加解析でも424),ジギタリス製剤の使用は,全死亡,心臓死,不整脈関連死と関 図11 DOAC 投与中の出血発現時における中和薬の投与法と中和効果時間 最終内服から 8 時間未満最終内服から 8 時間以上 エドキサバンリバーロキサバン高用量初期負荷 800 mg(30 mg/ 分),持続注射8 mg/ 分× 2 時間(= 960 mg)低用量初期負荷 400 mg(30 mg/ 分),持続注射4 mg/ 分× 2 時間(= 480 mg) アピキサバン低用量初期負荷 400 mg(30 mg/ 分),持続注射4 mg/ 分× 2 時間(= 480 mg)低用量初期負荷 400 mg(30 mg/ 分),持続注射4 mg/ 分× 2 時間(= 480 mg) FXa 阻害薬の種類と最終内服からの時間によるアンデキサネット アルファの用量 FXa 阻害作用抑制 急速+持続静注 2 時間直接トロンビン作用抑制 A ダビガトラン中和薬(イダルシズマブ)投与法 B FXa 阻害薬中和薬 (アンデキサネット アルファ)投与法 5 g 急速静注 24 時間