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p.45 抽出テキスト

クはHR 1.45(P=0.001)と有意差があった362).また,同コホートにおいて,HbA1c 7% 以上8% 未満の脳梗塞発症リスクは6% 以上7% 未満と同等(HR 1.08,P=0.47)である一方で,8% 以上の脳梗塞発症リスクはHR 1.44(P= 0.004)であった362).

日本人高齢心房細動患者(75 歳以上)を対象としたANAFIE レジストリにおいて,HbA1c レベルによらず90% 以上に抗凝固療法が行われていた.HbA1c 7% 以上8% 未満の脳卒中/ 全身性塞栓症リスクはHbA1c 6% 未満と同等(HR 1.10)であったが,HbA1c 8% 以上はリスク上昇傾向(HR 1.48,有意差なし)があり,ATRIA と同様の傾向が認められた363).なお,糖尿病合併心房細動患者を対象としたコホートにおいて,糖尿病の経過が10年以上の患者は38%,HbA1c 8% 以上の患者は13% であった362).また,PREFER in AF の検討では,インスリンを必要としない糖尿病患者の脳梗塞発症リスクが非糖尿病患者に対して同等(HR 0.93,P=0.80)であったのに対して,インスリン治療中の糖尿病患者の脳梗塞リスクはHR 2.19(P=0.009)であった364).こうした実質的な脳梗塞発症リスクの高い糖尿病患者に対しては,抗凝固療法を検討すべきであろう.

心房細動患者における心不全の脳梗塞発症リスクについては,CHADS2 スコアの原著365)における心不全の定義が「最近心不全を発症した患者」となっており,心不全発症時期と脳梗塞発症リスクの関係に注目することは重要である.欧米のコホート研究では366-368),心不全入院から30 日以内の脳梗塞発症リスクは約5 ~17 倍であると報告している.一方で,デンマーク国家データベース研究では,心不全入院をした患者の脳梗塞発症リスクは,30 日経過後も1.5 ~

2 倍のリスクが30 年にわたって持続したとしている366). Fushimi AF レジストリによる検討でも同様の知見が得られており,心房細動患者の脳卒中/ 全身性塞栓症は心不全入院後30 日以内にもっとも多く,さらに心不全入院後30 日から360 日にかけてもその発生リスクは高く,心不全入院のない患者に対するHR は3.94(95%CI 2.42 ~6.17)であった369).

直接型経口抗凝固薬(DOAC)の第III 相試験では, LVEF≦40%,NYHA 心機能分類≧II,3 ~6 ヵ月以内の心不全症状のいずれかを満たす場合を心不全の定義としており,J-RISK に含まれる各レジストリの心不全の定義もほぼ同様となっている351).こうした心不全の定義は,わかりやすく明確である一方で,今日の心不全治療薬で十分な治療を受けている安定した心不全患者の多くは実質的な脳梗塞発症の高リスクとならない可能性がある.一方で,心不全入院の既往のある患者については有意な脳梗塞発症リスクを有することが報告されている369).

また,BNP が脳梗塞発症リスクの判断基準となる可能性がある.Fushimi AF レジストリにおいて,BNP またはNT-proBNP 高値群(それぞれ中央値169.4 pg/mL 以上または1,457 pg/mL 以上)は同低値群と比較して脳卒中/ 全身性塞栓症リスクが上昇していた(HR 1.97,P=0.03)

369).

また,Hokuriku-Plus AF レジストリにおいても,BNP 170 pg/mL 以上の高値群は同低値群と比較し,虚血性脳卒中を含む血栓塞栓症リスクの上昇がみられた(HR 3.86,P= 0.0003) 370).

DOAC が広く使用されるようになり,より多くの患者に抗凝固療法を行うことが可能となったが,抗凝固療法の対象になりづらい患者は一定数存在する.DOAC のうちダビガトランはクレアチニンクリアランス(CCr)30 mL/ 分未満,リバーロキサバン,アピキサバン,エドキサバンはCCr 15 mL/ 分未満で禁忌となる.また,維持透析患者にワルファリンを投与することは,出血を増やすのみならず,塞栓症をも増やす可能性が指摘されているため,日本透析医学会では維持透析患者に対するワルファリン投与を原則禁忌としている1).本フォーカスアップデートにおいても,

維持透析患者に対するワルファリン投与は原則禁忌として扱うが,心房細動アブレーション周術期にはワルファリンの使用は一般的であり,また機械弁症例や脳梗塞二次予防など,ワルファリンを使用せざるを得ない場合もある2).

腎機能が抗凝固療法の適応範囲内であったとしても,以下のような場合には現実的に抗凝固療法の継続が困難となる.1 つは,出血を繰り返す症例や,生命を脅かす大出血既往のある症例である.抗凝固療法下で出血をきたし抗凝固薬を中止した場合,出血源の止血によって再開可能とな

抗凝固療法の対象から外れる症例とは?

PQ 2解説