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p.41 抽出テキスト

部位と比較して相対的に遅くなる部位が,VT 時の頻拍回路峡部と高確率で相関する.

Aziz らは患者120 人を対象に,isochronal late activation map(ILAM)という方法で描いた興奮伝播マッピングのうち,isochrone の密になっている部分(心室内で伝導遅延がある領域:deceleration zone)がVT の回路に一致し,同部位の通電で良好なアブレーション成績が得られたことを報告している338).また,ペーシングで心室内の興奮伝播様式を変化させることで,洞調律時には明らかではなかった異常電位領域が顕在化することがあり,複数のペーシング方向を用いることが異常不整脈基質の同定に有用である.近年明らかになった異常電位の描出方法として,期外刺激を用いたプロトコールがある340-342).期外刺激を行いながら心室内をマッピングすると,洞調律時には明らかではなかった異常電位が顕在化し,かつ期外刺激時に伝導遅延を示す部位がVT の頻拍回路峡部と関連することが報告されている340-342).

4.3.2 特殊なアブレーション法

VT 中の心内膜,心外膜の高密度マッピングの報告から, VT の回路は心内膜あるいは心外膜側のいずれかの単一平面を旋回する二次元の回路というよりは,心筋内を三次元

的に旋回する回路が多いことが明らかとなっている343). VT 起源が心筋中層に存在する場合,心内膜および心外膜アプローチも無効である可能性がある.このような場合に,従来からの冠動脈枝へのエタノール注入に加え,近年冠静脈枝へのエタノール注入の有効性が報告されている. Valderrábano らは通常のカテーテルアブレーションに抵抗性のVT 患者に対し,冠静脈枝へのエタノール注入を行い, 1 年間のVT 非再発率は84% であった344).定位放射線治療は難治性VT に対して,非侵襲的にVT 再発率を減少させることができる治療として期待される.これは2024 年2 月現在本邦において未承認の治療であり,多くの臨床研究が進行中である345, 346).遠隔期に心膜食道瘻の重篤な合併症の報告もあり,安全性の検討が必要である347).

その他の心筋深部の頻拍起源に対するアプローチとして,低い浸透圧のイリゲーション液の使用(half normal saline)

348)や,左室基部起源の心室不整脈に対して20 ~ 35 W の出力でインピーダンス低下を注意深く観察しながら2 分以上(最長5 分まで)の長時間通電の有効性が報告されている349).これらの手法についても有効性と安全性を勘案し,適応を検討する.

第3章 心房細動の薬物治療と包括管理

1 本邦独自の脳梗塞リスク評価ツー ル:HELT-E2S2 スコア

1.1 HELT-E2S2 スコア開発の背景

脳梗塞発症リスクを判断するための簡便なリスクスコアとして,CHADS2 スコア,CHA2DS2-VASc スコアが従来用いられてきた.しかし,海外で開発されたこれらのリスクスコアを本邦に適用できるか否かについて,日本人を対象とした3 つのレジストリ(J-RHYTHM レジストリ, Fushimi AF レジストリ,Shinken Database)で統合解析を

行ったところ350),両スコアの構成要素のなかで脳梗塞発症に寄与する独立危険因子として同定されたのは年齢75歳以上,高血圧,脳卒中既往の3 因子のみであった350).

さらに,上記の3 つにHokuriku-Plus AF レジストリ, Keio Interhospital Cardiovascular Study を加えた5 つのレジストリの統合解析であるJ-RISK が行われた351, 352).ここで得られた独立危険因子は,年齢75 ~84 歳,年齢85 歳以上,高血圧,脳卒中既往,BMI 18.5 kg/m2 未満,持続性/ 永続性心房細動,の6 因子であった351).すなわち,CHADS2 スコア,CHA2DS2-VASc スコアと共通する危険因子として年齢,高血圧,脳卒中既往の3 因子が追認された一方,糖尿病,心不全,血管疾患は独立危険因子と