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p.38 抽出テキスト

不整脈薬使用によるICD のVT 検出ゾーンを下回るslow VT の出現などの重篤な薬物治療関連合併症の発症率が有意に高かったことによる.心血管死発生率は両群で差は認められなかった.なお,2024 年2 月現在,持続性VT に対する第一選択治療としてのカテーテルアブレーションの優位性を検討するVANISH2(NCT02830360)が進行中である.

PAUSE-SCD は単形性VT 既往のある器質的心疾患患者において,ICD 植込みに先行したVT カテーテルアブレーションと薬物治療を比較したアジアの多施設RCT である326).虚血性心疾患に加え,拡張型心筋症や不整脈原性右室心筋症も含まれており,これまでの虚血性心疾患のみを対象としていたRCT とは異なる.平均31.3 ヵ月の追跡期間中に主要エンドポイント(VT 再発,心血管イベントによる入院,死亡)発生率はアブレーション群で有意に低かった(アブレーション群49.3% vs. 対照群65.5%,HR 0.58,95%CI 0.35 ~0.96,P=0.04).これはおもにVT再発が減少したことによるもので,心血管イベントによる入院と死亡については,有意差は認められなかった.

同時期に発表されたPARTITA 327)は欧州の多施設RCTで,ICD 植込み後の初回のショック作動をともなうVT に対し,カテーテルアブレーションと内科的治療を比較した.本試験でもアブレーションがICD 作動を減少させ,複合エンドポイント(死亡,心不全悪化による入院)も改善させた(アブレーション群4% vs. 対照群42%,HR 0.11, 95%CI 0.01 ~0.85,P=0.034).

BERLIN VT 328)も欧州で行われた多施設RCT である.陳旧性心筋梗塞にともなう持続性VT 患者において,VTアブレーションを行うのに至適な時期について検討した. ICD/CRT-D 植込み前の予防的アブレーション群と,ICD/ CRT-D 植込み後に3 回以上ICD の適切ショック作動があった後にアブレーションを行う待機的アブレーション群を比較したところ,持続性VT 発生率は予防的アブレーション群で低下したものの,心不全悪化による入院が増加し,予後の改善効果も認められなかった(予防的アブレーション群32.9% vs. 待機的アブレーション群27.7%,HR 1.09,95%CI 0.62 ~1.92,P=0.77).VT 再発を予防する目的でデバイス植込み前にアブレーションを行うことの妥当性は示されない結果となった.

以上より,おもに虚血性心疾患を背景とした持続性VTにおいて,カテーテルアブレーションによる早期治療介入は,抗不整脈薬治療と比較してVT 再発やICD 作動を有意に減らすことが示された.一方で,VT カテーテルアブレーションが死亡や心血管イベントによる入院を減らすことができるかという点については相反する結果であり,今後の検討が必要であろう.また,治療経験が豊富な施設を

中心に行われたこれらのRCT においても,アブレーション合併症発症率は2.8 ~8.7% と報告されている321-328).アブレーションは治療経験を豊富に有する施設で,患者リスクを考慮して行う必要がある.

4.2.2 特発性PVC/VT

右室流出路や左室束枝起源の特発性のPVC/ VT に対して,カテーテルアブレーションは成功率が高く合併症もまれであることが報告されており,右室流出路起源の特発性のPVC/ VT についてはカテーテルアブレーションが抗不整脈薬治療より有効であることがRCT でも示されている329, 330).2022 年のESC ガイドラインでは,症状を有する右室流出路起源,左室束枝起源のPVC/VT に対する第一選択治療として,カテーテルアブレーションが推奨クラスI となった41).また,症状を有するそれ以外の起源のPVC/VT に対しては,カテーテルアブレーションもしくはフレカイニド投与が推奨クラスIIa とされている.

流出路起源以外のPVC/VTに対するカテーテルアブレーションの成功率は,流出路起源に比べやや劣る329).本フォーカスアップデートにおいては,「不整脈非薬物治療ガイドライン(2018 年改訂版)」5)を踏襲する(症状を有するPVC で薬物治療が無効または副作用のため使用不能な場合,あるいは患者が薬物治療を希望しない場合に,特発性右室あるいは左室流出路起源のPVC に対して推奨クラスIIa,それ以外の部位のPVC に対しては推奨クラスIIb 適応とする).

4.2.3 ブルガダ症候群に対する心外膜アブレーション

ICD 頻回作動をともなうブルガダ症候群において,VFの契機となるPVCに対する心内膜あるいは心外膜アブレーション,ならびに右室流出路自由壁の異常電位部位に対する心外膜アブレーションが報告されている331, 332).特に,心外膜アブレーションに関してはすでに多数の症例が報告されており,その長期成績も良好である333).

BRAVO レジストリ334)では,ブルガダ症候群159 人に対する心外膜カテーテルアブレーションの成績を報告している.約4 年の追跡期間中,単回のアブレーション後のVF 非再発率は81%,再アブレーション後の最終成功率は96% であった.特に,アブレーション後に薬剤負荷試験を行い,タイプ1 心電図が出現しなかった症例では,5 年のVF 非発生生存率が98% と非常に良好であった.

このため,本フォーカスアップデートでは,薬物治療に抵抗性の頻回のVF 発作に対して,VF の契機となるPVCに対する心内膜アブレーションと,右室流出路自由壁の異