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p.33 抽出テキスト

高齢者(80歳以上)に対して心房細動カテーテルアブレーションを行うべきか?

CQ 1

症候性心房細動に対するカテーテルアブレーションの選択肢を,高齢(本フォーカスアップデートでは80歳以上と定義する)であるという理由のみでは排除しないことを推奨する.

無症候性心房細動に対するカテーテルアブレーションを,高齢者に対して予後改善効果を目的として施行しないことを推奨する.

推奨

付帯事項1) まずは症状を評価する.動悸・息切れなどの心不全症

状や,心房細動にともなう心機能低下によるQOL や日常生活動作(ADL)の低下を認めないかを確認する. 2) 高齢者の全身状態(フレイル,認知能力,併存疾患)は

個人差が大きい.個々の症例において全身状態を評価し,心房細動の進行度(持続期間や左房リモデリング)を勘案しつつ,カテーテルアブレーションにより得られるベネフィット(症状の改善)とリスクを包括的に検討し,患者との共有意思決定のうえ,カテーテルアブレーションを選択する.背景,本CQ の優先度

加齢は心房細動発症の主要な危険因子であり,高齢者における心房細動の有病率は高い.心房細動カテーテルアブレーションは侵襲的な治療であるため,身体的予備能が低く,併存疾患が多い高齢者においては施術に慎重であるべきだが,リアルワールドにおいて心房細動カテーテルアブレーションを受ける患者に占める高齢者の割合は著しく増加している.

本邦のカテーテルアブレーションレジストリによると,心房細動カテーテルアブレーションを受けた患者における75 歳以上の割合は,2011 年の8.5%(J-CARAF レジストリ)から,2021 年は28.3%(J-AB レジストリ)に増加していた1).このような高齢者における心房細動アブレーションの急速な普及が適当か否かを検証することは,重要な臨床的課題と考えられる.しかし,高齢者に特化したRCTはないため,登録研究やRCT のサブ解析から判断する必要がある.エビデンスの要約

PICO P:高齢心房細動患者I:カテーテルアブレーションC:非高齢心房細動患者O:アウトカム

益に関する重大なアウトカム:非再発率,QOL の改善,予後の改善

害に関する重大なアウトカム:手技にともなう合併症高齢心房細動患者におけるアブレーションの安全性

登録研究におけるカテーテルアブレーションの安全性を,高齢者と非高齢者で比較したメタ解析が行われている2-4).これらの研究で,年齢は一貫して合併症の独立予測因子であった.また,本邦のDPC データベースを用いた研究でも,年齢は合併症と関連しており,60 歳未満と60 ~64歳の比較ですら合併症発症率に有意差が認められた5).85歳以上の群における合併症発症率(6.8%)は60 歳未満の群のそれ(2.5%)の2.8 倍程度であった.2011 年のJ-CARAF による調査で全体の合併症発症率が5.8% であったことを考えると6),現在は85 歳以上の群においても施術を不適当とするほど著しく高くはないといえるが,非高齢者と比べた場合,より慎重な適応の判断が求められる.高齢心房細動患者におけるカテーテルアブレーションの有効性

登録研究におけるカテーテルアブレーション後の再発率を高齢者と非高齢者で比較したメタ解析は,年齢は再発と関連があるとする報告2, 3),両群の再発率に有意差を認めなかったとする報告4)が混在する.このことは,適切な患者選択を行った場合に合理的なアウトカムが期待できることを示している.高齢心房細動患者におけるカテーテルアブレーションのQOL 改善効果

カテーテルアブレーションが症候性心房細動患者のQOL を有意に改善することは過去にも示されている7, 8).年齢別のサブ解析においても,高齢者間と非高齢者間にて,保存的治療と比較した場合のアブレーションの優位性は一貫しており,症候性心房細動においては年齢にかかわらずカテーテルアブレーションでQOL が改善することが見込まれる8).

解説