p.30 抽出テキスト
の改善に寄与するか否かを比較した大規模RCT であるCABANA は,カテーテルアブレーションの優位性を明瞭に示すものではなかった.一次エンドポイントのintensionto-treat 解析では両群で有意差はなかったが,per-protocol解析においてアブレーション群では薬物治療に比べ有意な改善がみられた(P=0.046) 277). 2.2.5 まとめ 無症候性心房細動患者の予後をカテーテルアブレーションが改善することを明瞭に示したRCT は発表されていないが,1早期の洞調律維持治療が心房細動患者予後に関連する,2カテーテルアブレーションは心房細動の進行を抑制する,に関して新たなエビデンスが集積されつつある. 心房細動カテーテルアブレーションの目的が,患者の症状およびQOL 改善のみではないことに加え,現場の実情や需要を鑑み,本フォーカスアップデートでは,上記EAST-AFNET 4 271)およびCODE-AF 274)の結果をもとに,無症候性発作性再発性心房細動でCHA2DS2-VASc スコアが3 点以上の患者に対するカテーテルアブレーションを推奨クラスIIa,エビデンスレベルB とした(表14). 2.3 心不全をともなう心房細動に対する カテーテルアブレーション 近年,RCT をまとめたメタ解析において,心不全合併心房細動におけるカテーテルアブレーションの有効性が示されている278, 279).多くのRCT は低左心機能を有する心不全患者(HFrEF)を対象としており,カテーテルアブレーションは薬物治療に比し全死亡を抑制し,LVEF,6 分間歩行,QOL を改善させた.しかし,それぞれのRCT は患者背景や観察期間,アブレーション方法などが一様ではなく,結果の解釈には十分な注意が必要である277, 280-288)(表15). RAFT-AF 280)は近年でもっとも大規模なRCT であり,アブレーション群は薬物治療(レートコントロール)群に比べ,全死亡および心不全入院を減少させる傾向を認めた(P=0.066).統計学的有意差は示されなかったが,18 ヵ月以降イベントがみられていることから,観察期間が不十分 であった可能性が考えられる.比較的大規模なCASTLE- AF 283),AATAC 285),CABANA サブ解析282)においては,アブレーションが薬物治療に比して死亡率を有意に低減させており,予後改善に関する有効性は高いと考えられる. 十分な観察期間という点では,49 ヵ月間の観察を行ったCABANA が注目されるが,心不全合併群(35%)に焦点を当てたサブ解析では,アブレーションは薬物治療に比して一次エンドポイント(死亡/ 後遺症を伴う脳卒中/ 大出血/ 心停止の複合エンドポイント)を有意に減少させ,心房細動再発や心房細動バーデン,QOL も有意に低下,改善した(心房細動再発率56% vs. 72%,HR 0.56,95%CI 0.42 ~0.74) 282).ただし,本試験は軽症心不全患者(76% がNYHA 心機能分類II,LVEF 中央値55%)が対象となっていたことに留意する必要がある. また,CAMTAF 286)とARC-AF 287)を合わせた長期成績(観察期間7.8 年)が報告された.アブレーション群と薬物治療群で死亡/ 心血管入院に有意差はなかったが,試験終了後に薬物治療群の54% がアブレーションを受けていた.治療ベースで予後を解析したところ,アブレーション群は薬物治療群に比して死亡率(HR 0.43,95%CI 0.20 ~0.91, P=0.028),死亡/ 心血管入院とも有意に減少した(HR 0.48,95% CI 0.24 ~0.94,P=0.031) 288). AMICA では,LVEF≦35% の持続性心房細動患者を対象に心機能(LVEF)の改善効果を一次エンドポイントとして検討した.1 年後の洞調律維持率はアブレーション群で高かったものの(73.5% vs. 50%),LVEF の改善は両群で同程度であった281).本試験は観察期間が1 年と短いことや,対象患者のLVEF が26% と他の試験に比し著明に低く,60% がNYHA 心機能分類III であったこと, CRT-D 植込み患者の割合が43% と高いことから,対象患者に重症心不全が多く含まれていたことが影響した可能性がある.ARC-HF においてもLVEF の改善に有意差は認められなかったが,LVEF 24% と著明な低左心機能の患者が対象となっていた287). 心機能をMRI で評価したCAMERA-MRI では,アブレーション群においてLVEF の改善を有意に認めた.特にアブレーション群においては左室心筋内の遅延造影なし群において有意なLVEF 改善(22.3% vs. 11.6%,P=0.0069),およびLVEF 正常化(EF ≧50% と定義,73% vs. 29%,P =0.0093)が高く284),その後4 年の長期観察においても結果は同様であった289).さらに同試験のサブ解析で,特発性低左心機能を有する持続性心房細動患者における心機能改善効果が検討され,びまん性線維化の指標となるT1値がアブレーション群で有意に低下し,心機能改善に関連 表14 無症候性再発性の発作性心房細動に対するカテーテ ルアブレーションの推奨とエビデンスレベル推奨クラスエビデンス レベル 無症候性再発性の発作性心房細動でCHA2DS2-VASc スコア≧3 点の場合にカテーテルアブレーションを考慮するIIa B