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p.29 抽出テキスト

ないため,本フォーカスアップデートではクライオバルーンアブレーションのみの言及を行った.

2.2 無症候性心房細動に対する カテーテルアブレーションの適応

心房細動はただちに生命に関わる疾患ではないことから,カテーテルアブレーションは洞調律維持による患者のQOL 改善を目的として施行されてきた.つまり,心房細動カテーテルアブレーションの適応は症候性心房細動が原則であり,欧米のガイドラインでは,無症候性心房細動への適応は記載されていない.「不整脈非薬物治療ガイドライン(2018 年改訂版)」においては,無症候性発作性心房細動で再発性のものにかぎり,推奨クラスIIb とされている5).臨床現場におけるカテーテルアブレーションの適応は症候性心房細動以外にも拡大されている実情があり,近年報告された新たなエビデンスを紹介する.

2.2.1 早期リズムコントロールの影響

EAST-AFNET 4 271)は,心房細動症例への早期リズムコントロール治療が患者予後に影響を与えることをはじめて報告したRCT である.診断確定から1 年以内の心房細動患者を,早期リズムコントロール群(抗不整脈薬治療またはカテーテルアブレーション)と通常治療群(レートコントロール群)にランダム化し,予後を比較した.平均5.1 年の経過観察にて,一次エンドポイント(心血管死・脳卒中・心不全または急性冠症候群の悪化による入院)の発生率が通常治療群で有意に高かったため(3.9/100 人年 vs. 5.0/100人年,P=0.005),早期終了となった.

本試験のアブレーション施行率は早期リズムコントロール群19.4%,通常治療群7.0% と比較的低かったが,心房細動患者では早期リズムコントロールを目指すことが予後改善に関連することをはじめて明らかにした意義は大きい.その後のサブ解析によって,無症候性患者と症候性患者で同様の結果であったことが追加報告された272).さらに,早

期リズムコントロールの予後改善効果は,CHA2DS2-VAScスコア≧4 点の塞栓症高リスク群においてのみ認められたことも追加解析で示されている273).

2.2.2 症候性と無症候性の比較

CODE-AF 274)は韓国における前向き多施設観察研究で,心房細動患者1,515 人(発作性64%)を症候性・無症候性の2 群に分けて予後(一次エンドポイント:心不全入院,脳梗塞,心臓死)を比較した.その結果,症候性心房細動群は無症候性心房細動群よりも有意に予後不良であり(P= 0.04),リズムコントロールはレートコントロールと比して,症状の有無にかかわらず一次エンドポイント発生率が有意に低かった.無症候性群における解析では,発作性心房細動,左心房径<50 mm,CHA2DS2-VASc スコア≧3 点が予後改善と関連していた.

2.2.3 カテーテルアブレーションによる 心房細動の進行の抑制

ATTEST 275)では,高周波カテーテルアブレーションは抗不整脈薬治療に比べ,発作性心房細動から持続性心房細動への進行を抑制しうるか否かを検討した.患者255 人を1:1 でランダム化し,3 年間の経過観察を行った.その結果,持続性心房細動(または心房頻拍)への進行はアブレーション群2.4% と,抗不整脈薬治療群17.5% に比べ抑制されることが示された.

またEARLY-AF のサブ解析276)では,発作性心房細動に対し第一選択治療としてクライオバルーンアブレーションを施行した群において,抗不整脈薬治療群と比して持続性心房細動への進行が有意に抑制されたことが報告されている(アブレーション群1.9% vs. 抗不整脈薬群7.4%,HR 0.25,95%CI 0.09 ~0.70).さらにこの研究では,アブレーション群において有意なQOL 改善がみられるとともに,抗不整脈薬群と比して入院率が69% 低率であったことが示されている276).

上記の2 つのRCT は,カテーテルアブレーションが心房細動の進行を抑制することをはじめて示唆した点で意味が大きく,心房細動カテーテルアブレーションが症状の改善だけを目的として施行されるものではないことを示している.

2.2.4 カテーテルアブレーションによる患者予後の改善

「2021 年JCS/JHRS ガイドラインフォーカスアップデート版不整脈非薬物治療」6)にも記載されているが,心房細動カテーテルアブレーションが薬物治療と比して患者予後

表13 症候性再発性の発作性心房細動に対するクライオバ

ルーンアブレーションの推奨とエビデンスレベル推奨クラスエビデンス

レベル

症候性再発性の発作性心房細動に対する第一選択治療として,クライオバルーンを用いたカテーテルアブレーションを行う(患者がアブレーションを希望した場合,他の選択肢や治療のリスクなどの十分な説明を行ったうえで選択する) I A