p.28 抽出テキスト
dispersion を標的とする方法が提唱されている261).また, BELIEF では肺静脈隔離に左心耳隔離を追加することの有効性が報告された262).さらに,左房に広範な低電位を有する症例における左心房隔離も提唱されている263).しかし,これらの隔離の難易度が高いこと,また隔離後の血栓リスクが高いことが問題となる.ここに示した追加通電法については,いまだエビデンスには乏しいことから,施行の是非は慎重に検討されるべきである. 2 心房細動カテーテルアブレーショ ンの適応拡大 2.1 第一選択治療としての 心房細動カテーテルアブレーション 症候性の発作性心房細動に対する第一選択治療のカテーテルアブレーションは,「不整脈非薬物治療ガイドライン(2018 年改訂版)」において推奨クラスIIa とされている5).近年,発作性心房細動に対する第一選択治療としてのクライオバルーンアブレーションの有効性を検討した3 件のRCT が報告された264-267)(表12). STOP AF First 264)は,米国の24 施設における症候性発作性心房細動患者203 人を対象として,クライオバルーンによる肺静脈隔離術を抗不整脈薬(I 群あるいはIII 群)と比較した.12 ヵ月の経過観察後,治療成功率(手術成功,心房性不整脈非再発など)はアブレーション群において有意に高かった(74.6% vs. 45.0%,P <0.001).アブレーション群において手術に関連する合併症(心囊水貯留および心筋梗塞)が2 人認められたが,重篤な合併症はまれと結論づけている. Early-AF 265)は,カナダの18 施設における未治療・症候性発作性心房細動患者303 人に対し,クライオバルーンによる肺静脈隔離術と抗不整脈薬によるリズムコントロー ルを比較した.全症例で植込み型心電計による不整脈検知を行い,12 ヵ月の経過観察を行った.頻脈性心房不整脈(心房細動,心房粗動,心房頻拍)の再発率はアブレーション群において有意に低かった(42.9% vs. 67.8%,P <0.001).重篤な合併症はアブレーション群5 人(3.2%,横隔神経麻痺3 人,症候性徐脈2 人),抗不整脈薬群6 人(4.0%, wide-QRS 頻拍2 人,失神1 人,心不全悪化1 人,症候性徐脈2 人)に発生したが,有意差は認めなかった. Cryo-FIRST 266)は,未治療・症候性発作性心房細動患者218 人について,クライオバルーンアブレーションと抗不整脈薬治療を比較した.12 ヵ月の経過観察において,頻脈性心房不整脈の再発率はアブレーション群で有意に低かったが(17.8% vs. 32.4%,P=0.01),重篤な合併症は両群間で有意差はなかった. これら3 件のRCT のメタ解析も報告されている267).心房細動に対する初回治療をクライオバルーンアブレーションと薬物治療で比較した場合,アブレーションは薬物治療に比べ有意に頻脈性心房不整脈の再発が少なく,症状およびQOL の改善が良好であり,また医療資源利用率(入院)が削減された.重篤な副作用は両群間で同程度であった. 以上より,症候性・再発性の発作性心房細動に対する初回治療として,クライオバルーンアブレーションが薬物治療よりも優れていることが示された.本フォーカスアップデートでは症候性再発性の発作性心房細動に対する第一選択治療として,クライオバルーンアブレーションを推奨クラスI とした(表13).なお,3 件のRCT はいずれもハイボリュームセンターとよばれる経験豊富な施設群での治療結果であること,また1 年という短期の結果であるため,長期の有効性は不明であることに留意する必要がある. 発作性心房細動に対するアブレーション方法として,高周波もクライオバルーンと同等の成績が報告されており268-270),薬剤抵抗性の有無を問わない第一選択治療としても同様の効果が期待できる.ただしエビデンスの追加が 表12 発作性心房細動に対する第一選択治療としてのクライオバルーンアブレーションの有効性を示した3 つのRCT の結果 試験名施行国登録患者数 (人)対象の心房細動の病型 (%)観察期間 (月)不整脈検知法再発率(%) * STOP-AF First 264)米国203発作性100 12外来心電図心電計テレモニター(毎週)ホルター心電図(6,12 ヵ月後) 25.4/55.0 EARLY-AF 265)カナダ303発作性95 12植込み型心電計42.9/67.8 Cryo-FIRST 266)オーストラリア,欧州,南米218発作性100 12外来心電図7 日間ホルター心電図17.8/32.4 *:アブレーション/ 薬物治療